エンレスト切り替え時の注意事項!禁忌じゃないけどARBの併用は推奨されない?

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医薬品

どうも、シンパパ薬剤師Kです。

2021年9月よりエンレストの長期処方が可能となりましたね。
今日はエンレストを始める時の注意事項やARBの併用はどうなのかという事をご紹介したいと思います。

以前、エンレストの適応や用法などをまとめていますのでこちらも併せてどうぞ。

今回のポイント

~今回のポイント~
・ACE阻害薬は禁忌、切り替える際はACE阻害薬中止後36時間空けないとダメ
・エンレスト開始時はARBを併用しないほうが良い
・増量時は2週間以上空けて、血清K値・腎機能をチェックする
・患者さんには低血圧について改めて説明する

ACE阻害薬からの切り替え

ACE阻害薬とエンレストは併用禁忌ですが、切り替える時には注意が必要です。
ただ切り替えればいいという訳ではなく、ACE阻害薬を中止後36時間空ける必要があります

これは血管浮腫のリスク回避が理由になっています。

ARBとの併用は推奨されない

ARBとの併用は禁忌ではありませんが、推奨されていません。
特にエンレスト開始時はARBを一旦中止した方が無難です。

エンレストの添付文書に「本剤はアンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬から切り替えて投与すること。」と記載があります。(2021年10月時点)

エンレスト開始時にARBを併用すると切り替えて投与に該当しない可能性があるとメーカーさんが言っていました。
県によっては保険審査が怪しいかもとのことですので、ARBから切り替える際も一旦中止する方が良いですね。

更にメーカーさんは「エンレストに切り替えた後に血圧に余裕があるのであればARBを再開するのではなくエンレストを増量した方が心不全の治療としては高い効果を期待できるのではないか。今の所、専門の先生はARBを再開するよりエンレストの増量を選ぶことが多い。」と仰っていました。

増量時に確認すること

増量時にまず確認することは下記のとおりです。

・2週間以上間隔が空いているか
・収縮期血圧が95mmHg以上あるか
・血清K値 5.4以下か
・eGFR 30mL/min/1.73m2以下になっていないか
・服用後eGFRが35%以上低下していないか

これらは添付文書で記載されている内容で、臨床試験で1回50mgから1回100mgへ増量する際にどちらもクリアしている場合に増量可能としていた数値です。

薬局で検査値をどこまで把握できるかという問題点はありますが、患者さん本人に腎機能とカリウムの数値を意識してもらえるように指導することも大事かなと思います。

高血圧患者ですとカリウムは血圧を下げる成分というイメージで多めに摂る方もいると思います。
摂れば摂るほど良いというものではないので注意が必要です。

患者さんへの説明はしっかりと

先ほどのカリウムの事もそうですが、ご自身が使う薬について理解していただくことは治療において重要な事だと思います。
たまに「血圧が高い時だけ薬飲む」みたいに誤った知識で独自の解釈をする患者様もいます。

エンレストは低血圧での脱落や、上咽頭炎による副作用発現率が高い(海外第Ⅲ相試験で47.7%)薬剤です。
低血圧は状況によっては命を落とす危険もありますし、上咽頭炎に関しては心臓の薬のせいとは思わないかもしれません。

私はエンレスト初回の患者さんには2週間後に電話させて頂いても良いか聞いています。
エンレスト開始後又は、増量後などに血圧が下がりすぎていないか、その他副作用などが出ていないか確認するためです。

実際に電話の許可が頂けなくても「この薬はそれだけ注意が必要な薬なんだ」と思ってもらえれば意味があるかなと思っています。

エンレストは正しく使えれば心不全患者さんの予後を大きく改善する可能性のある期待の治療薬です。
薬の専門家としてしっかりと適正に使用出来るための知識を付けておきましょう。

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