どうも、シンパパ薬剤師Kです。
GWも明けて処方監査や服薬指導が始まった新人薬剤師さんも増えてきた事でしょう。
処方監査をしていても何を気にして監査すべきか初めは全く分からないですよね。
今回は保険や入力の事には触れず、処方内容を見るときはここから始めようというポイントをご紹介します。
これは完全に僕の個人的な意見ですので予めご了承ください。
クラリスロマイシンが出ていたら要注意

クラリスロマイシンってCYP3A4を阻害する抗生物質ですよね?

そうだね、CYP阻害によって併用薬の血中濃度を上げてしまう恐れがあるね。
CYP3A4によって代謝される薬はとても多いから注意が必要だね。
クラリスロマイシンと併用禁忌の薬って何かわかる?

全部は分からないですけど、確かベルソムラは禁忌でしたよね。

その通り!
ベルソムラは禁忌だね!
クラリスロマイシンは抗生物質だから、定期的に飲むのではなく臨時で使われることが多いんだ。
臨時のお薬はいつもの病院とは違う病院で出して貰う事も多いから併用薬の確認が出来なくて飲み合わせが悪くても処方される事があるんだよね。
「クラリスロマイシンが出たら怪しむ」癖はつけておいてもいいかも!
~クラリスロマイシンの併用禁忌薬~
・ピモジド(オーラップ)
・エルゴタミン(エルゴタミン酒石酸塩,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩)含有製剤(クリアミン)
・スボレキサント(ベルソムラ)
・ロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッド)
・タダラフィル(アドシルカ)
・チカグレロル(ブリリンタ)
・イブルチニブ(イムブルビカ)
・アスナプレビル(スンベプラ・ジメンシー)
・イバブラジン塩酸塩(コララン)
・ベネトクラクスの用量漸増期(ベネクレクスタ)
メトグルコの用量をチェック!

なんでピンポイントでメトグルコの用量なんですか?

これは僕が勝手に意識している事なんだけど、メトグルコを見ると腎機能に関して注意しやすいんだよね。ちなみに、メトグルコの用量は腎機能に応じて最大量が設定されてるのは知ってるかな?

いえ、、知りませんでした、、

じゃあ、この機会に覚えておこう!
メトグルコの最大量はeGFRを指標に決められているよ。
~メトグルコの腎機能障害時の最大投与量~ ・45 ≦ eGFR < 60の場合→1,500mg ・30 ≦ eGFR < 45の場合→750mg

腎機能障害で用量を減らさないといけないのは分かったんですが、具体的にはどういう監査を行うんですか?

メトグルコは糖尿病の薬なのは知っていると思うんだけど、糖尿病って3大合併症に糖尿病性腎症があるように腎障害が起きやすいんだよね。
検査値が分かっていれば最大量を超えていないかを確認して、検査値が分からない状況で減量が行われていれば「腎機能が悪くなってないかな?」って疑うようにしているよ。
逆に増量していれば「多分腎機能良いんだな」って考えられるよね!

なるほど!
メトグルコの用量が腎機能目安にもなりうるんですね!

でもこれはあくまでも推察でしかなくて腎機能は関係なく減量している場合もあります。
「その可能性があるかもね」って話だから決めつけてはいけないので気を付けよう!

SGLT-2阻害薬も腎機能が悪いと効果が出ないから使われないですよね?
メトグルコの用量と合わせて見るようにすると良さそうですね!

そうだね、僕もSGLT-2阻害薬も一緒に見ると良いと思う!
糖尿病治療で腎機能の状態は治療の選択に大きな影響を与えるから意識してみよう!
別の病院からの抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬ですか。。
良く皮膚科から出ていますよね。

そうだね、皮膚科ではしょっちゅう処方をみるよね。
では皮膚科以外で抗ヒスタミン薬って何科で出るかな?

うーん、花粉症とか鼻炎とかだから内科と耳鼻科ですか、、?

そう、正解!
内科でも耳鼻科でも良く処方されているのを見るよ。
じゃあここでひとつ考えてほしんだけど、薬に詳しくない人が「皮膚科のかゆみの薬」と「耳鼻科の鼻水の薬」が同じだと気づけるかな?

ちょっと難しいかもしれないですね。。

うん、僕も難しいと思う。
関係ないと思った患者さんが先生に伝えないで、薬が被っていて疑義照会なんてことが良くあるんだよね。
因みに、抗ヒスタミン薬の第一世代と第二世代は区別できる??

有名どころのフェキソフェナジンとかオロパタジン、エピナスチンは第二世代ですよね?
第一世代はクロルフェニラミンとかジフェンヒドラミンとかですか?

おお!各世代同士を合わせて使うことは出来ないけど、第一世代と第二世代を一緒に使うことは出来るから、ここはしっかりと区別できるようになろう!
~第二世代 抗ヒスタミン薬~ ・ケトチフェン(ザジテン) ・アゼラスチン(アゼプチン) ・オキサトミド(セルテクト) ・エダスチン(レミカット) ・エピナスチン(アレジオン) ・エバスチン(エバステル) ・セチリジン(ジルテック) ・ベポタスチン(タリオン) ・フェキソフェナジン(アレグラ) ・オロパタジン(アレロック) ・ロラタジン(クラリチン) ・レボセチリジン(ザイザル) ・デスロラタジン(デザレックス) ・ビラスチン(ビラノア) ・ルパタジン(ルパフィン)
処方監査の基本は間違い探し
かなり個人的な監査ポイントを3つ紹介しました。
「処方監査ってどうしたらいいか分からないなあ」という方は参考にしてください。
僕は処方監査って「間違い探し」みたいなものだと思っています。

こっちの薬の方がよくない??
って思っても間違いじゃない限り疑義することは基本ないです。
調剤薬局の処方監査は「Better」とか「More」じゃなくて、「Must」と「NG」を見つける作業です。
極論ですが、守ったほうが良い事は守らなくてもいいんです。
治療上守らない飲み方の方が良いと先生が判断すれば、守らないことも正しい選択です。
ですが、絶対守らなきゃいけない事は薬剤師で止めなくちゃいけません。
「こっちの方が良い」とかは、先生に処方を提案できるほどの関係性が無いと提案できません。
絶対守らなきゃいけない事は、先生との関係性なんて関係なく薬剤師が伝えることが出来ます。
「じゃあ、疑義の必要がない処方に対して薬剤師は何もできないのか?」
そんなことはありません!
服薬指導時に注意した方が良い事を正しく伝える、患者からの質問に調べなくても正しい答えをすぐ用意できるなどは個人の技量によって差が出る部分だと思いますし、患者さんからしたらそこが我々薬剤師を信頼するファクターになると思います。
一緒に患者さんに信頼される薬剤師を目指しましょう!
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