久しぶりに検査値の解説をしていきます。
今回は糖尿病の一番代表的な検査値であるGLU(グルコース)とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)について医療関係者もそうでない方も分かるようにまとめていこうと思います。
GLU,HbA1cとは
~基準値~ ・GLU(グルコース):空腹時血糖110㎎/dL ・HbA1c(ヘモグロビン):
GLU(グルコース)とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は血液中の血糖を示す検査値であり糖尿病の診断に重要な検査値です。
高い理由は?
高い理由はシンプルに糖尿病の可能性です。ただ、一概に糖尿病の疑いと言っても原因は食事量が多いとか、インスリンの反応が悪くなっているとか、インスリンの分泌が少ないとか様々です。
妊娠すると糖耐能異常が起きて血糖が高くなることもありますので医療関係者は覚えておきましょう。
食事直後の血糖値は誰でも高くなるのですが、食事から2時間経っても血糖値がしっかり下がらない場合は糖尿病が疑われます。
自覚症状が出るころには相当進行しているので初期、中期において自覚症状のみで見つけるのは困難です。多くの場合、健康診断などで発見されます。
病院より自己測定だと高くなりがち?
血圧の数値が病院と家で違うなんて話はよく聞くと思いますが、血糖でも同じようなことが起きるってご存じですか?
血糖の場合は血圧みたいに場所が関係しているのではなく、採取する血液が違うので病院の血液検査と自己測定で血糖の数値に違いが出ると言われています。
血液検査で採取する血液は静脈血で、自己測定で採取するのは指先の末梢血です。
静脈血にくらべ末梢血の方が血糖を多く含むので、末梢血で測定する自己測定の方が高くなる傾向があります。これは薬局の薬剤師なら覚えておきたいポイントです。
GLU,HbA1cを読み解くポイント
GLUとHbA1cを読み解くポイントは、①各々の特性を理解しておくこと②糖尿病の診断基準を理解しておくこと③一緒に腎臓やケトン体の数値を確認することでしょうか。これが正解ってものではありませんが僕はこの3つを心がけています。
①各々の特性を理解しておくこと
こんなことは皆さんご存じだとは思いますが、即時性のあるGLUと直近1~2か月間を反映するHbA1c。
ではGLUを測るタイミングについて患者さんから聞かれたときになんて答えますか?
すぐに回答が頭に浮かばない場合は改めてGLU測定のタイミングについて確認しておいた方が良いでしょう。
基本的に血糖値を測定するときは空腹時です。ただ、血糖の動向を掴むために食後2時間後の血糖を図ることは有益です。治療を行うにしてもインスリンの基礎分泌が少ないのか、追加分泌が少ないのかが分からないと適切なインスリン製剤を選べないと思いますしね。
患者さんに対しては「空腹時に図るようにしましょう」という回答で概ね問題ないと思います。
②糖尿病の診断基準を理解しておくこと
医療人として糖尿病の診断基準を理解していないと、数値が分かっても的確な判断が出来ない可能性があります。ここは何となくでもいいのでしっかり押さえておきましょう。糖尿病標準診療マニュアル2022に記載されている診断基準を貼っておきます◎
③一緒に腎臓やケトン体の数値を確認すること
糖尿病の進行やコントロールを見るためには血糖やHbA1cだけではなく、腎機能の指標や尿ケトン体を見ることが有益です◎
腎機能について気に掛けるのは糖尿病患者においてとても重要だという事は皆さんご存じだと思います。個人的にそれと併せて確認したいのが尿ケトン体です。
尿ケトン体が増えているのは血糖コントロールや体内のエネルギー利用が上手くいってない可能性があるからです。
糖尿病患者においてケトン体が増える理由は別の記事で解説します。
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