【明日から薬局で使える】臨床的な抗不整脈薬Naチャネル遮断薬の使い分け

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医薬品

どうも、シンパパ薬剤師Kです。

Na+チャネル遮断薬の使い分けについて疑問に思ったことないですか?
国家試験ではⅠa、Ⅰb、Ⅰcの違いについて勉強しましたが、臨床的な使い分けについては正直知りませんでした。

今回はちょっと調べたことを記事にしていこうと思います。

不整脈治療の目的

そもそも不整脈治療の目的は根治ではなく対症療法です。
つまり、治療開始点から自覚症状の発生を極力下げることで生活の質(QOL)を向上させることが重要です。

対症療法は治すわけではないので治療が長期にわたります。抗不整脈薬の使用は重篤な副作用も珍しくないため、治療効果と副作用などを見ながら慎重にコントロールしていく必要があります。

リズムコントロールとレートコントロール

不整脈の治療には、
心房細動のような不規則な拍動にならないようにコントロールするリズムコントロールと、
心室の電気振動を抑えて脈拍数を下げるレートコントロールというものがあります。

リズムコントロールに用いられる薬はNa+チャネル遮断薬+チャネル遮断薬で、レートコントロールに用いられる薬はジゴキシン等の強心配糖体βブロッカーCa拮抗薬です。

Na+チャネル遮断薬を選ぶ場面

では、どういった場面でNa+チャネル遮断薬が選ばれるのでしょうか。

不整脈のガイドラインを見た感じだと、Na+チャネル遮断薬優先順位は低いです。

基本的にリズムコントロールがレートコントロールに勝るエビデンスは殆どなく、催不整脈のリスクの分Na+チャネル遮断薬を使用した場合の予後がよくない報告もあります。

その為、βブロッカーCa拮抗薬の方が優先的にチョイスされます

心機能が保たれている場合は、レートコントロールに加えNa+チャネル遮断薬の投与が検討されます

心機能が低下している患者には使いづらい

Na+チャネル遮断薬は心機能が低下している患者の予後改善の期待値は低く優先的には使いません。
実際、SPAF試験では心不全患者においてNa+チャネル遮断薬を投与した群の方が生存率が低かったという結果も出ています。

Na+チャネル遮断薬の使い分け

基本的に初めはⅠaかⅠbを使い、無効例にはⅠcを検討することが多いです。

Ⅰa群(ジソピラミド)無効例に対して、Ⅰb群とⅠc群と他のⅠa群(シベンゾリン)を投与した場合は、

・Ⅰb群→ほとんど効果なし
・Ⅰc群→約半数が効果あり
・他のⅠa群(シベンゾリン)→約半数が効果あり

という結果でした。

つまりⅠa群無効例に対してⅠb群に変更することはあまり意味がなくⅠc群か他のⅠa群に変える方が望ましいです。

また、Ⅰa群有効例に対してはⅠc群の方が治療効果が低いデータもあるので正しく使い分けることが必要そうですね。
このⅠc群の治療効果の違いはK+チャネルに対する作用が関係しているとされています。

Na+チャネル遮断薬の分類

・Ⅰa群→ジソピラミド、シベンゾリン
・Ⅰb群→メキシレチン、アプリンジン
・Ⅰc群→フレカイニド、ピルシカイニド

Ⅰb群は催不整脈作用が少ない為、Ⅰa群とⅠc群に比べて心機能低下例にも使いやすいです。

Na+チャネル遮断薬まとめ

・心機能低下時にはあまり使われない(催不整脈作用などにより死亡のリスク↑)
・催不整脈作用:Ⅰa群・Ⅰc群>Ⅰb群
・優先度はβブロッカー、Caチャネル遮断薬、強心薬の方が高い
・Na+チャネル遮断薬を使う場合は、Ⅰa群かⅠb群で開始して無効の場合Ⅰc群を検討する
K
K

Na+チャネル遮断薬投与により予後が悪化する事例が有るということに注意を払う必要があります。

Na+チャネル遮断薬による発作性心房細動の予防効果は約50%と思ったより低いです。

患者背景を考慮して、本当に必要な薬なのか検討しながら使う必要がありますね。

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