糖尿病に合併する高血圧に対するACE阻害薬とARB

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医薬品

糖尿病に合併する高血圧

糖尿病患者における高血圧の合併は非常に多く、糖尿病を患って居ない人の2〜3倍も高血圧を発症している確率が高いそうです。

降圧目標は130/80mmHg未満とされており、これは併発がない75歳以下の患者と同じ数値です。

第1選択となる降圧剤は

このケースで第1選択となる降圧剤は、ACE阻害薬・ARB・Ca拮抗薬・チアヂド系利尿薬(少量)です。

微量アルブミン尿・蛋白尿の場合は、ACE阻害薬とARBが第一選択になります。
糖尿病患者の場合、糖尿病性腎症の合併を考えると微量アルブミン尿やタンパク尿は良くみられる事なのでACE阻害薬・ARBを選択することが望ましいと思います。

微量アルブミン尿とタンパク尿は、腎障害によって腎機能が低下するとアルブミンが尿中に現れる為ので腎障害の指標として用いられます。
明らかな腎障害がある場合は、アルブミンの量がある程度増えるのでタンパク尿として検出できるのですが、糖尿病性腎症の場合アルブミンが少量しかない為、通常のタンパク尿検査ではスルーされてしまう可能性があります。
糖尿病性腎症の早期発見のため尿中微量アルブミンの検査が重要です。

ACE阻害薬とARBの比較

では、ACE阻害薬とARBは実臨床においてどう使いわけられるのか考えていきましょう。

基本的には若干ACE阻害薬の方が優位か

僕が今まで勉強した事から考えると基本的にはACE阻害薬の方が効果的かなと思います。

心臓や腎臓の保護がARBよりACE阻害薬の方が高く、ARBがACE阻害薬と同等だというデータは沢山あるのですが、ACE阻害薬より優れたというデータはほぼ無いようです。(僕が調べた限りですが。。)

逆にACE阻害薬の方が優れているというデータは割とあるんですよ。

糖尿病と高血圧を併発していれば心疾患などの併発も考えられますし、心疾患へのエビデンスが高いACE阻害薬の方が活躍出来るシーンは多いと思います。

腎障害がある場合は、ACE阻害薬より肝代謝さえるARBを使われることが多いのですが、腎不全抑制効果はACE阻害の方が高いというデータもありますので忍容性さえあればACE阻害薬を使う方が良いと思います。

〜ACE阻害薬が適する場面〜
・心疾患併発患者
・ACE阻害薬に忍容性の有る腎障害
・嚥下困難者

降圧作用はARBの勝ち

ただ、ARBにも適した場面があります。

〜ARBが適する場面〜
・高い降圧作用が求められる場合
・空咳・血管浮腫の副作用が問題になる場合
・肝代謝の薬剤を使いたい場合

降圧作用はARBに軍配があがります。血圧がそれなりに高く、ACE阻害薬1剤では降圧作用が間に合わないケースでもARBなら1剤で問題なく降圧できる可能性があります。

また、ACE阻害薬ではしばしば空咳の副作用が問題になります。ARBにする事でこれも解決出来ますね。

現在あるACE阻害薬は基本腎代謝です。ARBには肝代謝の薬剤があるので、肝代謝の薬剤をチョイスできるのもARBの強みでしょう。

ACE阻害薬かARBかで選ぶより個々の薬剤で考える

ここまでの話も使い分けとして実際に行われている事で大事な事ではあるのですが、使い分けとしてベストなのは、個々の薬剤の特徴で使い分けるということだと思います。

今までの話はACE阻害薬 vs ARBという構図でお話しましたが、もう少し踏み込んだところを考えてみましょう。

ARB間の比較については以前記事にしているので良かったらこちらも読んでください。

肝代謝のみのARB

腎障害時に気にしなくてはいけない大きなポイントである代謝経路ですが、国内で使われるACE阻害薬はすべて腎臓で排泄されます。
そのため、上限量の問題で降圧作用など効果に限界を迎える事があります。
ARBはすべて肝代謝が関与しており、その中でもテルミサルタン・イルベサルタン・アジルサルタンの3種は肝臓でのみ代謝されます。
この3つは覚えておきましょう。

血圧以外にも適応がある薬剤

エナラプリル・リシノプリル・カンデサルタンは慢性心不全に適応があります。
イミダプリルは1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症に適応があります。

併発している場合はこれらを第一選択として検討していいと思います。

適応は無いが効果は期待できる

イルベサルタンとロサルタンはURAT-1を阻害することが知られており尿酸値が高い患者へ効果が期待できます。

イルベサルタンとテルミサルタンはPPAR-γを活性化させる作用が他のARBより強い事が知られています。
ただこちらに関しては作用が弱いので、実臨床で有益性があるというデータはありません。
今の所ちょっとした豆知識程度の域を超えていません。

ACE阻害薬とARBは多少の違いはありますが、実臨床において症状に応じて細かく使い分けているDrはほぼいないと思われます。
そもそも各病院・クリニックの採用薬だから使っているという処方が多いと思います。

だからと言ってこの知識が不要という事はありません。
薬剤師として腎障害時肝障害時の処方監査や、疑義照会や往診同行時の処方提案にしっかりとしたエビデンスを持って回答できるのは「こいつ出来る!?」と思わせる重要な材料だと思います。

周りから「やっぱり薬剤師は必要だ」と思われる薬剤師を目指しましょう。

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