【夏の水分制限、どう指導する?】心不全や慢性腎臓病、過活動膀胱などに対して水分制限と脱水の危険性

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医薬品

どうも、シンパパ薬剤師Kです。

気温が上がってきた時期に患者さんに言うセリフの大定番「脱水に気を付けてくださいね」!
皆さんは、夏場の水分補給についてどう患者さんに指導していますか?
病態によっては水分制限が必要な患者さんもいる中で、脱水の危険性も考えてどう指導すべきでしょう?

K
K

患者さんに適切なアドバイスが出来るように、夏の水分制限について考えてみましょう。

水分制限や脱水を留意すべき患者とは?

水分制限と言えば、心不全や慢性腎臓病が思い浮かぶと思いますが併せて考えたいのが、過活動膀胱の患者さんです。
トイレの回数が増えてしまう事や失禁を恐れて水分を控える方が多いので注意が必要です。

脱水に気を付ける薬といってすぐにピンとくるのは、利尿薬とSGLT-2阻害薬でしょうか。

これらを踏まえて今回は、心不全・慢性腎臓病・過活動膀胱・糖尿病の患者に対してどのように指導すべきか考えていきます

心不全に対する水分制限

心不全患者は、体内の水分が多くなってしまい利尿薬を服用しているケースが多いので脱水に注意するよう指導する事は多いですよね。
浮腫みの症状や体内の水分が多いと先生から聞いて水を摂りすぎないように意識される方もいますし、利尿薬を飲んでいるといつもより尿意を強く感じたりトイレが近くなったりするので水分を取ることを嫌がる方もいます
先生からの指示もあるとは思いますが、夏場に必要以上の水分制限を行うと脱水のリスクがあることを患者さんに知ってもらうことも大切です。

薬剤師が薬局で行う対応としては、一番最初に処方医からの指示がどのようなものであったか確認することが重要です。
心不全は水分制限を行うことが当たり前のように思われがちですが、ガイドラインでは軽度な心不全では、自由水の排泄は損なわれていないため水分制限は不要とされています。
そもそも水分制限が必要ない患者さんに薬局の独断で水分制限を促すのはNGですので、しっかり処方医の指導内容に沿ったアドバイスを心がけましょう。
高齢者は口渇を感じにくいので、それを見越して利尿薬を減量することもあるそうです。

意外な落とし穴なのが「経口補水液」です。
こういう熱い時期には熱中症予防で購入される方も多いですが、Na濃度が高いのでNa制限をしている心不全患者さんには推奨されません。
購入希望の場合は、基礎疾患の確認もせずに販売する事は避けた方が良いです。

慢性腎臓病に対する水分制限

慢性腎臓病の患者さんは腎機能が低下しているため尿による水分排泄が低下しているので、こちらの患者さんも水分を摂りすぎないように意識されてる方がいます。
更に、心不全や高血圧など様々な慢性疾患を抱えている事が多いです。
脱水状態でARBやNSAIDsなどの薬を服用して腎血流量が減ると急性腎障害を起こす可能性があるので注意が必要です。

ただし、水分の摂りすぎにも注意が必要で「沢山水を飲むことは腎臓に良い」と思っている人もいます。
必要以上の水分摂取で腎臓がよくなるという事実はないので、もしそういう患者さんがいたら「飲あまり多く摂りすぎなくて大丈夫ですよ」と伝えてあげましょう。

腎臓病の水分補給には緑茶より麦茶が適している

腎機能低下時の水分摂取には、緑茶や紅茶はカリウムの含有量を考慮すると不向きです。
比較的カリウム濃度の低い麦茶の方が適しています。

過活動膀胱に対する水分制限

過活動膀胱の患者さんは、トイレの回数が増えることを嫌がり過度な水分制限を行っている方もいます。
高齢者の場合、口渇にも気づきにくく脱水のリスクが結構高いです。
過活動膀胱の薬を服用している患者さんに投薬する際は、水分の接種に関して聞き取りをして過度な水分制限を行わないように指導しましょう。

糖尿病に対する水分制限

糖尿病患者は元々脱水になりやすいという事を覚えておきましょう。
過剰な糖を尿と一緒に出すために尿量が増える為です。

日ごろから脱水に対して意識するよう指導すると良いですが、スポーツドリンクなどの糖分が多いものはなるべく飲まないように伝えましょう
運動した際は、梅干しとお水を飲むようにした方がいいです。
今は糖分が抑えられたスポーツドリンクもあるので、どうしてもスポーツドリンクが良い場合は糖分が抑えられたものを選ぶように指導しましょう。
糖尿病の場合、心不全などを併発していない場合は経口補水液でもOKです!

糖尿病患者の中でも、特に脱水に注意が必要なのはSGLT-2阻害薬を服用中の患者さんです。
皆さんご存じの通り、尿への糖排泄を促進することで血糖を下げる薬なので基本は尿量が増えます。
脱水状態で尿量が減ってしまうと尿路感染症のリスクが高まったり、腎臓への負担にもなりかねません。
心疾患など特別な水分制限をする必要がない場合は、しっかりと水分を摂る必要があると指導しましょう。

シックデイの対応を処方医と確認するように指導

体調が悪いと食事量も減ってしまいます。
食事量が減ってしまうと、糖分だけでなく水分摂取量も低下してしまいます
低血糖のリスクばかりが目に行きがちですが、脱水のリスクも考えないといけません。
シックデイに休薬する候補としては、SU薬やグリニド薬、SGLT-2阻害薬に白羽の矢が立ちますが、メトグルコ(メトホルミン)も忘れてはいけません。

メトグルコは飲んでても低血糖のリスクは少なそうだよな。。

なんて思いがちですが、脱水による乳酸アシドーシスのリスクを考慮する必要があります。
SGLT-2阻害薬と併用していたら脱水が起きて乳酸アシドーシスのリスクが高くなってしまいます。

厳しい暑さの中では特に、体調が悪い・食事量が明らかに少ない時にどのような対応をすべきか処方医の判断を事前に確認するように指導する事が大切です。

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