どうも、シンパパ薬剤師Kです。
糖尿病の処方も最近多くなってきて、配合剤も増えてきたのでガイドラインを軽く目を通してみたので治療薬について少しお話ししようと思います。
糖尿病における第一選択
糖尿病における第一選択は、日本国内では特に決まっていません。
糖尿病患者は様々な背景があるので、年齢や腎・肝機能、妊娠の有無など複合的に判断することとしています。
薬剤選択には低血糖リスクや病態、合併症抑制のエビデンスを考慮する事も重要です。
体内の急激な変化による悪影響やSEの発現などを考慮し、単剤で少量から開始して必要に応じて徐々に増量することが望ましいですね。
ちなみに欧米ではメトグルコ(メトホルミン)が第一選択となっています。
その理由として、有効性・安全性・コスト面がトータル的に評価されての事です。
厳密すぎる治療は死亡リスク
糖尿病の治療は適度なコントロールが必要です。
急激な高血糖の是正、厳密な治療は反って死亡率が上がってしまいます。
治療をした結果、死亡率が上がるなんて意味ないですよね。
低血糖や命に関わるSEが発現するので、経過をしっかり確認してあげるのは薬剤師の重要な仕事のひとつです。特管も算定してますしね。
糖尿病の治療薬
では少し糖尿病治療薬についておさらいをしましょう。
最近では、インスリン分泌を促す薬かどうかで分類する考えが出てきています。
実際に2020-2021のガイドラインでは、「インスリン分泌促進薬」「インスリン分泌非促進薬」「インスリン製剤」の3つに分けて考えられています。
インスリン分泌促進薬→SU薬・即効型インスリン分泌薬・DPP-4阻害薬・GLP-1作動薬
SU薬
細小血管症抑制のエビデンスがあるが、低血糖の発現などのリスクが高い為、高齢者に使うには注意が必要です。
インスリン分泌が保たれている患者だと効果が実感しやすいですが、食事や運動療法をサボると体重増量しやすいです。
逆に、肥満体型やインスリン分泌が高度に低下している患者には不向きです。
即効型インスリン分泌薬(グリニド薬)
SU薬と同じようにβ細胞からインスリンを分泌させる薬だが、SU薬より作用は弱めです。
その代わり作用時間は早いです。食前30分以上前に服用すると低血糖のリスクになるので患者さんに説明しましょう。食直前に服用した場合の低血糖の発現はSU薬より低いです。
ナテグリニドとミチグリニドはSU薬より作用が弱いですが、レパグリニドはSU薬と同等にHbA1cを低下させたという報告もあります。
ナテグリニドVSレパグリニドの結果は、レパグリニドの方がHbA1cを低下させています。
DPP-4阻害薬
インスリン分泌促進と併せてグルカゴン分泌の抑制作用も持ちます。
血糖値に依存して作用を示すので低血糖のリスクは低いですが、SU薬やインスリンと併用することで低血糖のリスクに注意が要ります。併用時はSU薬の減量などを考慮して少量から始める方がいいですね。
以前の記事でも紹介した通り、トラゼンタとテネリアは透析患者でも用量調節不要です。
2015年には週1回製剤のマリゼブとザファテックが登場しました。
1日1回の製剤に対して血糖低下作用の非劣勢が確認されており、安全性も同等です。
週1回なのでコンプライアンスの改善も期待できますね。
GLP-1作動薬
作用機序はDPP-4とほぼ同じですね。
血糖値に依存してインスリン分泌促進とグルカゴン分泌を抑制します。
低血糖のリスクに関する注意事項もDPP-4阻害薬と変わりないですが、GLP-1作動薬は消化器系の副作用が多く報告されています。
心血管イベントのリスク患者において、ビクトーザ(リラグルチド)は大血管症を抑制します。
インスリン分泌非促進薬→ビグアナイド薬・チアゾリジン薬・α-グルコシダーゼ阻害薬・SGLT-2阻害薬
ビグアナイド薬(メトグルコ)
インスリン抵抗性改善作用と肝臓からのブドウ糖放出抑制作用を持つ薬。
前述したように、欧米では第一選択薬です。
SU薬やチアゾリジン系と同等の血糖降下作用を期待できます。
薬価も安く、腎機能が低下していない場合は比較的安全に使えるため、良く処方されていますよね。
更に、TGやLDLの低下作用も認められています。
最も注意が必要な事は、乳酸アシドーシスです。
全身状態が悪い患者や腎機能低下患者には十分注意してください。
eGFRが30を下回る患者には禁忌ですので腎機能はチェックするようにしてください。
チアゾリジン薬
PPARγを刺激することでアディポネクチンの分泌を促進してインスリンの感受性を改善します。
またHDLの上昇、TGの低下作用も持っています。
インスリン抵抗性をもつ非糖尿病患者に投与した結果、脳卒中の再発予防効果が報告されています。
注意事項としては、体液貯留による心疾患の悪化や骨折のリスクが挙げられます。
骨折は女性の方が多く報告されている為、閉経後の女性に対する投与は慎重に検討する必要があります。
α-グルコシダーゼ阻害薬
糖質の吸収を阻害することで血糖降下作用を示すα-グルコシダーゼ阻害薬。
食直前に服用する必要があり、1型糖尿病患者にも使えます。
他の薬とは作用機序が被らないので良く併用されます。
副作用は消化器系のものが多く、腹部膨満感や放屁がよく報告されてます。
肝硬変や腹部手術歴がある場合は、高アンモニア血症や腸閉塞を誘発するため注意しましょう。
SGLT-2阻害薬
近位尿細管で糖の再吸収を阻害して糖の尿中排泄を増やすことで血糖低下作用を示します。
ジャディアンスは心血管イベントのリスク患者において大血管症を抑制します。
メトホルミンやインスリン治療を行っている患者に併用してもしっかりと効果を表し、低血糖の発現数を変えないという結果が出ています。
ある程度腎機能障害があると効果が出ないくなるため、投与にあたって腎機能の確認が必須ですね。
主な副作用は、脱水や尿路感染症で腎機能の件もあるため高齢者への投与は適切な検討必要です。
最近では腎保護作用や心保護作用が注目されており、糖尿病以外にも腎不全や心不全への適応が追加された薬剤もあります。
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