どうも、シンパパ薬剤師Kです。
皆さん、ジヒドロピリジン系の違いって処方監査時にちゃんと気にして監査してますか?
アムロジピン、ニフェジピン、ベニジピンあたりは良く見ますよね。
作用時間や作用点の違いで使い分けていると思われますので、処方医の意図をしっかりと汲み取れるように復習しておきましょう。
ジヒドロピリジン系Caチャネル遮断薬とは
そもそもジヒドロピリジン系Caチャネル遮断薬とはなにかという基礎的なことからおさらいしていきましょう。
ジヒドロピリジン系Caチャネル遮断薬は、末梢血管に高い選択性を持ち血管平滑筋に存在するL型Caチャネルを遮断することで血管を拡張し血圧を下げる降圧薬の代表格です。
代表的な薬は「ノルバスク(アムロジピン)」「アダラート(ニフェジピン)」「コニール(ベニジピン)」などです。
L型、T型、N型チャネル
国家試験で勉強したと思いますが、Caチャネル遮断薬にはL型とT型、N型があります。
どのチャネルに作用するかで異なる特徴を持つので、どの薬がどのチャネルに作用するのか把握しておくと良いでしょう。
L型チャネル
L型は一番基本の作用点で、ジヒドロピリジン系の薬すべてに共通する作用点です。
糸球体の輸入細動脈と輸出細動脈両方に存在するT型とN型と異なり、L型は輸入細動脈にのみ存在します。
L型にのみ作用する薬は、輸入細動脈だけを拡張するので糸球体内圧を上昇させます。
また、T型とN型にも作用する薬に比べて反射性頻脈を起こしやすいです。
L型チャネル遮断薬は、細動脈は拡張しますが細静脈は拡張しないので下肢浮腫が問題になる事もあります。
T型チャネル
T型は糸球体の輸出細動脈にも作用するので糸球体内圧を下げて腎保護作用を持ち、尿蛋白減少作用もあります。
心臓にも存在する為、心拍数の増加を抑えてくれます。その作用で反射性頻脈の発生も抑えます。
N型チャネル
N型はT型同様に糸球体輸出細動脈にも作用し、糸球体内圧を低下させて腎保護作用を持ちます。
その他に、NAd(ノルアドレナリン)の分泌を抑制し心拍数を低下させる作用も持ちます。その作用で反射性頻脈を起こしにくい特徴があります。
また、細静脈も拡張させるのでL型チャネル遮断による下肢浮腫の改善を期待できます。
L型以外にも作用する薬
じゃあ、なにがL型のみに作用する薬でどれがL型以外にも作用する薬なのかって話ですよね。
L型以外にも作用する薬は少ないので、L型以外にも作用する薬だけ覚えましょう。
T型、N型どちらにも作用する薬
L型とT型、N型チャネルの3つに作用するのはコニール(ベニジピン)のみです。
腎保護作用、下肢浮腫改善、反射性頻脈を起こしにくい特徴があります。
T型に作用する薬
L型とT型に作用するのはカルブロック(アゼルニジピン)とランデル(エホニジピン)です。
T型に作用するのでこの2剤は腎保護作用と反射性頻脈を起こしにくい特徴があります。
N型に作用する薬
L型とN型に作用するのはアテレック(シルニジピン)です。
N型に作用するので腎保護作用と下肢浮腫改善、反射性頻脈を起こしにくい特徴があります。
アムロジピン、ニフェジピン、ベニジピンの違い
処方量の多いこの三種について簡単に違いを見てみましょう。
半減期、最高血中濃度時間、作用時間
半減期はアムロジピンが約36時間、ニフェジピンCRが約8時間、ベニジピンが約1~2時間程度です。
最高血中濃度時間はアムロジピンが約7時間、ニフェジピンCRが約3時間、ベニジピンが約1時間程度です。
作用時間はアムロジピンが約24時間、ニフェジピンCRが約24時間、ベニジピンが約24時間程度です。
全部1日1回なので作用時間は変わりないです。(ベニジピンを狭心症に使う場合は1日2回なので注意)
2021/06/18追記 ニフェジピンは1日1回40mgで効果が無かった場合、1日2回1回40mgまで増量出来ます。
半減期見る限りだと、ベニジピンが本当に24時間も作用するのか?って思いますけど効くらしいです。活性代謝物が主な作用を示すのかと思ったらそうでもないようです。
代謝物も活性自体は持っているんですが、「未変化体の1/375程度の活性しかない」とのことです。
なんでアムロジピンと作用時間同じなんだろうと思いませんか?
個人的には、アムロジピンやニフェジピンに比べてベニジピンは、投与直前と投与直後では薬の効き目に差が出るんじゃないかと思います。
ニフェジピンですら「アムロジピンに比べて効果の持続力が弱い」という意見があるので、流石に半減期が1~2時間のベニジピンもアムロジピンに比べて持続力は弱いんじゃないかなあと思うんですよね。
これは個人的な意見なので、真相をご存じの方は教えてください。
作用などの違い
この中ではニフェジピンが一番降圧作用が強く効果の発現も早いとされています。
アムロジピンで血圧が下がりきらなかった場合にニフェジピンに変更することもあるようです。
またニフェジピンはアムロジピンに比べて冠攣縮性狭心症にも効果を示します。
ニフェジピンは降圧効果が強い反面、浮腫の副作用も多いです。ニフェジピン服用患者の浮腫みはチェックしてあげると良いでしょう。
アムロジピンの強みは血中濃度が安定しやすいことやARBとの合剤が多いという事です。
前述したニフェジピンは服用後数時間で効果が若干薄まりアムロジピンに比べて安定しにくいという意見もあります。
ベニジピンは血圧を下げつつ冠攣縮性狭心症の治療を行いたい場合や、ニフェジピン程血圧を下げたくない場合に用いることがあるそうです。
(血圧を下げずに冠攣縮性狭心症の治療を行いたい場合はジルチアゼムを用いるそうです。)
また、アムロジピンとニフェジピンと異なり、ベニジピンはT型とN形にも作用するので腎保護目的やニフェジピンなどで浮腫が出来た場合にベニジピンを選ばれることもあります。
副作用
ジヒドロピリジン系Caチャネル遮断薬の有名な副作用は、浮腫や顔面紅潮、歯肉肥厚です。
これらの副作用の多さは、ニフェジピン>アムロジピン>コニールといった感じです。
まとめ
・ジヒドロピリジン系はL型とT型、N型に作用する
・L型はすべて共通の作用点
・T型に作用する薬(コニール、カルブロック、ランデル)は腎保護作用と反射性頻脈を抑える作用がある
・N型に作用する薬(コニール、アテレック)は腎保護作用と反射性頻脈を抑える作用に加えて下肢浮腫を抑える作用がある
・アダラート(ニフェジピン)は、ノルバスク(アムロジピン)に比べて作用が強い
・コニール(ベニジピン)は、血圧を下げる作用は強くないが冠攣縮性狭心症に有効
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