今回は血清蛋白質であるアルブミンについて解説していきます。
血清アルブミン(Alb)の概要
血清アルブミン(以下Alb)は肝臓で作られる血液中のたんぱく質の1種で基準値は4.1~5.1g/dLです。
血清蛋白質の6~7割をAlbが占めています。残りの殆どはグロブリン(Glb)ですので血清総蛋白質(TP)≒Alb+Glbが成り立ちます。
AlbとGlbのバランスが大切なので、AlbだけでなくTPとGlbも同時に測定されます。
Albは半減期が14~21日と長く、直近2~3日の栄養状態によって大きく変動するわけではありません。
Albはどういった指標?何が分かる?
Albは腎臓や肝臓の病態に加え栄養状態などが分かる検査項目です。
これらの状態が悪いとAlbは低値になることが多いです。
腎障害:糸球体の障害によって血中Albが尿中に流れ出るので蛋白尿になり血清Albは低くなる 肝障害:初期の肝硬変や慢性肝炎などではあまり変化しないが肝硬変が進むと低くなる 栄養状態:Albは食事由来のたんぱく質を基に肝臓で作られるので低栄養状態で低くなる
Alb/Glb比(AlbとGlbのバランス)
Albを見るときは同時に測定されるGlbとのバランスにも注目します。
Alb単独で見るより病態を把握しやすいとされていて、基準値は1.32~2.23です。
悪性腫瘍や自己免疫疾患、感染症、マクログロブリン血症などではGlbが増加し、肝硬変やネフローゼ症候群、糖尿病、低栄養状態などではAlbが低下するのでAlb/Glb比は低下します。
Albはどういうときに異常値になる?
Albが低値の原因
Albが低くなる原因は上記の腎障害、肝障害、低栄養が主な要因ですが、甲状腺機能亢進症や感染症、妊娠などでも低くなります。
~Albが低下する原因~ ・肝障害 ・腎障害(ネフローゼ症候群など) ・低栄養 ・甲状腺機能亢進症 ・重度感染症 ・重度の火傷 ・妊娠 など

K
血中Albの低値は浮腫みの原因になることをご存じでしょうか?
血中Albが低下すると血中Albの濃度が下がり、血管内の水分が血管外へ移動します。
そのため体に余計な水分が溜まり浮腫みの原因になります。
Albが高値の原因
高度の脱水などで血管内の水分が減るとAlbの濃度が上がるのでAlbの数値は上昇します。
まとめ
・Albは血清アルブミンのことで肝臓で合成される蛋白質(基準値4.1~5.1g/dL) ・Albの半減期は14~21日なので直近の栄養状態は大きく反映しない ・AlbだけでなくTPとGlbも一緒に測定する ・Alb/Glb比を見るとより病態が分かりやすい ・Albを見ることで肝臓、腎臓、栄養状態を探ることが出来る ・Albの異常は低値になることが多く様々な疾患で低くなるので、他の検査値と合わせて読む
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