【腎性貧血】保存期慢性腎臓病とは?HIF-PH阻害薬を使う基準・目安は?

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医薬品

今回は慢性腎臓病(CKD)における腎性貧血について軽く触れていこうと思います。

腎性貧血の新しい治療薬

HIF-PH阻害薬は腎性貧血の新しい治療薬で2019年発売のエベレンゾから始まりダーブロックやバフセオ、エナロイなどが続けて発売されました。
発売間もないのでまだ実臨床においては使用成績も少なく、あまり分かっていない薬剤師がほとんどだと思います。

HIF-PH阻害薬を使用するうえで慢性腎臓病(CKD)の3つステージ(保存期CKD、腹膜透析中のCKD、血液透析中のCKD)を考慮することが重要です。

保存期慢性腎臓病(保存期CKD)とは

2020年8月発売のバフセオは「本邦初の保存期から使えるHIF-PH阻害薬」です。
そもそも保存期CKDってなにかご存じですか?
僕は保存期CKDHIF-PH阻害薬も知らなかったので、門前のクリニックさんで行われた勉強会に出席した際は頭の中が?だらけでした。

保存期CKDとは簡単に言うと「透析していない慢性腎臓病」のことです。
エベレンゾの方が先に発売していましたが、発売当初は透析している患者さんにしか使えなかったのでバフセオが日本初の保存期から使えるHIF-PH阻害薬という事みたいです。「本邦初の保存期から使えるHIF-PH阻害薬」と聞くと保存期に使えないHIF-PH阻害薬がありそうですが、エベレンゾが2020年11月に保存期CKDに対しても適応追加されたので現在発売されているHIF-PH阻害薬はすべて保存期から使えます

~HIF-PH阻害薬一覧(2022年現在)
・エベレンゾ錠
・バフセオ錠
・エナロイ錠
・ダーブロック錠
・マスーレッド錠

HIF-PH阻害薬を使う基準は?

腎性貧血にHIF-PH阻害薬を使うときの基準は、「鉄補充を十分に行った後にESAかHIF-PH阻害薬のどちらかを選択する」もしくは「ESA抵抗性でESAによる治療効果が不十分な場合にESAから切り替える」というのが一般的です。
またヘモグロビン濃度(Hb)も重要で、保存期慢性腎臓病及び腹膜透析患者ではHb11g/dL未満血液透析患者ではHb10g/dL未満が投与開始の目安となります。

つまり、鉄補充でHbが目安の数値まで上がらない患者 or ESAでHbが目安の数値まで上がらない患者に対してHIF-PH阻害薬が選択されるといった感じですね。

HIF-PH阻害薬の注意事項

HIF-PH阻害薬は腎性貧血の治療の幅を広げてくれる非常に良い薬なのですが、当然デメリットというか注意事項があります。
個人的に覚えておいた方が良いと思う重要な注意事項をざっくりと以下に列挙します。

~HIF-PH阻害薬の注意事項~
・悪性腫瘍悪化・再発の可能性
・糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症の進行・発症の可能性
・血栓塞栓症の進行、発症の可能性
・血管石灰化の可能性
・スタチンとの相互作用
・鉄剤との相互作用

特に悪性腫瘍や網膜症は投与前に適切な治療のもと、コントロールされているか確認したうえでHIF-PH阻害薬を投与することが添付文書上に記載があります。
血栓塞栓症のリスクに対してはHb値を過剰に高くし過ぎないように管理が必要です。
ですので、HIF-PH阻害薬は治療効果によって投与量を調節する必要があり、各薬剤の添付文書には増減表が記載されています。
この辺の注意事項や使用方法については別の記事で詳しく解説したいと思います。

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