どうも、シンパパ薬剤師Kです。
今日はPPIの中で新しいネキシウムとタケキャブについてまとめてみようと思います。
ネキシウム(エソメプラゾール)
ネキシウムは2011年9月に発売されたPPIで、オメプラゾールの光学異性体(S体)です。
オメプラゾールはCYP3A4と2C19によって代謝を受けます。
このCYP2C19は国家試験でよく問われる内容で、個人差が大きいことが知られていますね。
対してネキシウムは、CYP2C19の寄与が少ないため、個体差も少ないと考えられています。
一方の光学異性体とラセミ体の関係ですが、用量は同じです。
同じ関係のアモバンとルネスタは、ルネスタの方が用量は少なく設定されています。
恐らくネキシウムは、「どっちの光学異性体も薬効は示すけどCYP2C19への関与が異なる」ってことだと思います。
また、オメプラゾールはNSAIDs投与時の潰瘍予防には使えませんが、ネキシウムは使うことができます。ネキシウム20mg投与後24週間後の潰瘍再発抑制率は96%です。(プラセボ64.4%)
逆流性食道炎の非再発率は、オメプラゾール20㎎が87.3%に対して、ネキシウム20mgは92%でした。
ネキシウムの方が強く効果は期待できそうですね。
ネキシウムは小児適応もある唯一のPPIです。
ただし、適応が成人とは異なるので注意が必要です。
ネキシウムもオメプラゾールも食事の影響は受けず、肝障害によりAUCが増加します。
腎障害に関して注意事項の記載はないため、問題なく投与可能です。
タケキャブ
タケキャブは2015年2月に発売した今までのPPIと違う「カリウムイオン結合型アシッドブロッカー」という機序を持った薬です。
従来のPPIはプロトンポンプのシステイン残基とジスルフィド結合することでプロトンポンプを阻害しますが、タケキャブはカリウムイオンに競合することでプロトンポンプを阻害します。
プロトンポンプは水素とカリウムを入れ替えるので、カリウムと結合することでカリウムと水素の入れ替えを阻害することでプロトンポンプを阻害します。
また、この効果は酸による活性化が必要ないため、従来のPPIより早い作用を期待できます。
タケキャブは腸溶性製剤ではないため、粉砕可能です。
ラベプラゾールやオメプラゾールは粉砕できません。(ランソプラゾールODは一応粉砕可能)
前述したネキシウムは脱カプセルが可能で、顆粒もあります。
タケキャブ20㎎、NSAIDs投与時24週間後の潰瘍再発抑制率は96.7%です。
逆流性食道炎の非再発率は98%と非常に高い数値が報告されています。
副作用は、どの試験もおおよそ10%程で便秘や下痢などが多いです。
ネキシウム同様、食事の影響を受けないのですが、肝障害だけでなく腎障害時にもAUCが増加します。
まとめ
ネキシウム
・オメプラゾールの光学異性体
・活性化は個人差が少ない
・添付文書に腎障害に対する記載がない
タケキャブ
・カリウムイオン結合型アシッドブロッカーという新しいPPI
・酸による活性化が要らないため、効果が早い
共通
・食事の影響を受けない
・脱カプセル・粉砕可能
・逆食再発抑制:ネキシウム20mg92%・タケキャブ20mg98%
NSAIDs潰瘍抑制:ネキシウム20㎎96%・タケキャブ20mg96.7%
PPIは胃のpHを上げてしまうので相互作用に注意が必要です。
例えば、ジゴキシンと併用するとジゴキシンの血中濃度を上げてしまいます。
どちらもよく処方されているのを見るので、ジゴキシン中毒などに注意しましょう。
コメント