どうも、シンパパ薬剤師Kです。
今日は抗血小板薬について比較していこうと思います。
抗血小板薬と抗凝固薬って結構こんがらがりませんか？
僕はお馬鹿さんなので、しょっちゅうこんがらがっています。
いい加減そんな状態から卒業するために今回まとめていきます！
抗血小板薬と抗凝固薬
まずは簡単にこの違いを解説します。
抗血小板薬は、名前の通りアンチ血小板です。
糖尿病や動脈硬化などが原因で血管内にプラークが出来ます。
このプラークが剥がれたり損傷を受けると血小板が集まってきます。
動脈は流れが速いので赤血球などは流され血小板が主体の白い血栓が出来ます。
～抗血小板薬～ （）内は一般名
・バイアスピリン(アスピリン)
・パナルジン(チクロピジン)
・プレタール(シロスタゾール)
・アンプラーグ(サルポグレラート)
・プラビックス(クロピトグレル)
・エフィエント(プラスグレル)
・ブリリンタ(チカグレロル) など
一方、抗凝固薬はフィブリンなどの凝固因子に対して働きかけます。
不整脈や心不全などで遅くなった血流内で発生する血栓を防ぎます。
この場合の血流は遅くなっているので、先ほどの白色血栓とは異なり赤血球も含まれ赤い血栓が出来ます。
この赤色血栓は、赤血球を含むため血液内で大きくなります。
この血栓によって血管が詰まると脳塞栓症などが発生し、最悪の場合死に至ります。
それを防ぐために抗凝固薬を使って血液をさらさらにする必要があるってことですね。
～抗凝固薬～ （）内は一般名
・ワーファリン(ワルファリン)
・プラザキサ(ダビガトラン)
・イグザレルト(リバーロキサバン)
・リクシアナ(エドキサバン)
・エリキュース(アピキサバン) など
軽く抗血小板薬と抗凝固薬を説明したので、もう少し細かいところにフォーカスを当てていきます。
今回比較していくのは、抗血小板薬であるプラビックス・エフィエント・ブリリンタの3種です。
プラビックス(クロピトグレル)
プラビックスはパナルジンの改良版として登場した抗血小板薬で1日1回服用です。
パナルジンはTTPや無顆粒球症、肝障害が副作用として現れることが問題で、1999年と2002年にイエローレター(緊急安全性情報)が出ています。
その副作用を大幅に軽減したのがプラビックスで、治療効果はパナルジンと同等です。
今回比べる3種の中でプラビックスが特出しているのは適応の広さです。エフィエントとブリリンタは心臓にしか使えませんが、プラビックスは心臓の他に脳と末梢の血管にも使えます。
エフィエントは2021年に虚血性脳血管障害の適応が追加されました。
エフィエント(プラスグレル)
エフィエントはプラビックスを更に改良したお薬で用法は変わらず1日1回服用です。
プラビックスは、パナルジンを改良することで副作用の発生率は下がりましたがまだ問題点がありました。CYP2C19によって活性化をするので個人差が大きいという点です。
エフィエントはCYP2C19だけでなく、腎機能・肝機能・喫煙などが効果に影響しないことが報告されています。
また、アスピリンとの併用時の効果はプラビックスよりエフィエントの方が高いことも報告されています。
ブリリンタ(チカグレロル)
ブリリンタはプラビックス、エフィエントとは異なる特徴を持ちます。
用法は前述した2種とは異なり、1日2回です。
服用回数が多いのは飲み忘れのリスクになるので、正しく服用出来るか患者の認知力などに注意が必要ですね。
もちろんブリリンタにも強みがあります。
その強みは、代謝酵素に影響を受けない事と高い効果、休薬期間の短さです。
代謝酵素に影響を受けないのはエフィエントでも説明した通りCYP2C19の影響を受けないため、個人差が少なく安定した治療効果が期待できます。
さらにブリリンタは、心筋梗塞などの心血管による死亡のリスクをプラビックスより優位に低下させたことが報告されています。そのため、冠動脈ステント留置を受けた急性冠症候群の患者にはプラビックスより推奨されています。
そして、ブリリンタの抗血小板作用は可逆性で休薬期間は最短5日です。
前述した2種類は非可逆的に血小板に作用するため、休薬期間が血小板の寿命より長い必要があります。血小板の寿命は7～10日程度で、休薬期間は7～14日と設定されています。
多くの強みはありますが、適応はまだ狭いため注意が必要です。
～まとめ～
・プラビックスとエフィエントは1日1回、ブリリンタは1日2回
・プラビックスの強みは、適応の広さと価格の安さ
・プラビックスの効果は個人差が出やすい
・エフィエントとブリリンタは適応が狭いが個人差が出にくく、プラビックスより高い効果が報告されている
・休薬期間：プラビックス・エフィエント→7～14日
ブリリンタ→最短5日
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