どうも、シンパパ薬剤師Kです。
今日は高尿酸血症の治療で使われるフェブリク(フェブキソスタット)とザイロリック(アロプリロール)について見ていきましょう。
うちの薬局で高尿酸血症と言ったらほぼこの二つですね。
ユリノーム(ベンズブロマロン)もたまに出ますが、圧倒的にフェブリクとザイロリックの方が多いです。
ユリノームは尿酸排泄低下型に使われ、フェブリクとザイロリックは尿酸産生過剰型に使われます。
日本の高尿酸血症の患者は、産生過剰型10%・排泄低下型60%・混合型30%と言われています。
何故うちの薬局はこんなにもベンズブロマロンの処方が少なく、ほぼフェブリクかザイロリックのなのか、ちょっとした疑問が生まれてしまいました。。(笑)
これについては、ガイドラインなどを見て後日掘り下げようと思います。
フェブリク(フェブキソスタット)
フェブリクは1日1回服用です。
作用機序は選択的キサンチンオキシダーゼ阻害による尿酸合成抑制です。
尿酸代謝に特異的な作用を示します。
その特異的な作用のおかげでザイロリックより副作用が少ないです。
また、効果もザイロリックより優れている報告があります。
1日フェブリク40mg、ザイロリック300㎎投与して16週間後に尿酸値6.0mg/dLの達成率は、フェブリクが90%、ザイロリックが73.7%でした。最大用量は1日60㎎なのでまだ増量可能です。
腎機能低下時の用量調節もザイロリックに比べて使いやすく、フェブリクは中等度の腎障害までは減量の必要はありません。
フェブリクにもザイロリックに比べて劣る点があります。
薬価が高い点と心血管系リスクが指摘されている点です。
心血管リスクに関しては添付文書にも記載があり、「心血管疾患を併発している患者にはほかの選択肢がない場合に使う」としている国もあります。(日本は2021年現在特に制限なし)
薬価はフェブリク40mg錠が93.7円、ザイロリック100㎎錠が18.9円。
ザイロリックは3回なので1日56.7円という事になります。
更にザイロリックはGEもあり、1日30.3円です。(2021年4月の薬価参照)
ザイロリック(アロプリノール)
ザイロリックは1日3回です。
作用機序はフェブリクと同様のキサンチンオキシダーゼ阻害薬ですが、プリン骨格を持つ選択性の無いキサンチンオキシダーゼ阻害薬です。
その為、尿酸代謝以外にも作用してしまいフェブリクより多く副作用が発現してしまいます。
腎機能低下時には用量調節が必要です。
Ccrが50ml/min以下で1日100㎎、30ml/min以下で1日50㎎に減量します。
ザイロリックの最大用量は1日300㎎です。
前述した効果の比較試験では、まだ増量出来るフェブリク40mg(最大60㎎)に比べて、最大用量のザイロリック300㎎が劣っていたことを考えると、強い作用は期待できないかもしれません。
ですが、費用対効果はザイロリックの方が優れているという報告もあります。
痛風発作がない場合も尿酸値はさげる?
高尿酸血症の最大の問題といえば、痛風発作ですよね。
では痛風発作が無い場合も尿酸をさらに下げたほうが良いのかという疑問が生まれます。
結論、下げたほうが良いです。
尿酸値が高い状態は腎障害のリスクが上がると報告されています。
尿酸値7~8.9mg/dLの腎障害のリスクは正常値群に対して1.74倍で、9㎎/dL以上の腎障害のリスクはなんと3.12倍にもなります。
腎障害が進むと用量調節が必要になりますので、スムーズに薬物治療が行えなくなってしまうため、痛風発作が無くても尿酸値は下げたほうが良いです。
まとめ
・尿酸産生過剰型10%・混合型30%・排泄低下型60%
・フェブリクとザイロリックは尿酸産生過剰型に使われる
・フェブリクは1日1回最大60㎎・ザイロリックは1日2~3回最大300㎎
・フェブリクは選択的な作用のため副作用が少ないが心血管リスク(?)
・治療効果はフェブリク40mg>ザイロリック300㎎
・費用対効果はフェブリク<ザイロリック
・痛風発作が無くても尿酸値は下げたほうが良い
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