どうも、シンパパ薬剤師Kです。
今回は黄疸の原因であるビリルビンについて解説していきます。
この記事で解説する内容
・ビリルビンってなに?(ビリルビンの生成、ビリルビンの種類について)
・ビリルビンが高くなる原因
・ビリルビンが高い時に疑われる疾患
・ビリルビンが高い時の自覚症状
ビリルビンってなに?
【基準値:総ビリルビン0.2~1・間接ビリルビン0.1~0.8・直接ビリルビン0~0.3】
ビリルビンとは黄疸の原因として有名だと思いますが、どこにあってどのように血中に流れ出てくるか知らない方も多いと思いますのでビリルビンの基本について説明していきます。
ビリルビンは赤血球に含まれるヘモグロビンを分解すると出てくる胆汁色素です。
ちなみにおしっこが黄色いのもビリルビンに由来しています。
ヘモグロビンから解離した間接ビリルビンは、肝臓でグルクロン酸抱合を受けて直接ビリルビンとなり胆汁と一緒に肝臓から胆道を通って十二指腸へ排出されます。
ビリルビンの種類
ビリルビンには間接ビリルビン(脂溶性)と直接ビリルビン(水溶性)があります。
ヘモグロビンから解離した直後のビリルビンが間接ビリルビンで、肝臓でグルクロン酸抱合を受けたビリルビンが直接ビリルビンです。
このことから間接ビリルビンは非抱合型ビリルビン、直接ビリルビンは抱合型ビリルビンとも呼ばれます。
胆汁に溶け込むために水溶性になる必要があります。
そのことを考えれば抱合型が水溶性だという事は分かりますね。
ビリルビンが高くなる原因
ビリルビンが高くなる原因は主にこの3パターンに分かれます。
① 赤血球が多く壊されている(溶血が起きている)
② 肝臓から胆管への排泄に問題がある(肝障害が起きている)
③ 胆管から十二指腸への排泄に問題がある(胆管が詰まっている)
簡単に言うと、原因があるのは ①肝臓の前なのか、 ②肝臓なのか、 ③肝臓の後ろなのかという感じです。
① 赤血球が多く壊されている(溶血が起きている)
赤血球が壊れるとビリルビンが流れ出てきます。
つまり溶血などが原因で赤血球が多く壊されると間接ビリルビンが多く放出されるので、間接ビリルビンの数値が上がります。
② 肝臓から胆管への排泄に問題がある(肝障害が起きている)
赤血球から放出された間接ビリルビンは肝臓で直接ビリルビンに変換され胆汁に分泌されます。
肝臓に障害が発生すると直接ビリルビンを胆汁へ分泌する能力が下がります。肝臓から分泌されず溜まってしまった直接ビリルビンは血中に流れ出ていきます。
更に肝障害が進行すると間接ビリルビンから直接ビリルビンへ変換する能力も低下するので、直接ビリルビンだけでなく間接ビリルビンも増えていきます。
③ 胆管から十二指腸への排泄に問題がある(胆管が詰まっている)
胆汁は胆道を通って十二指腸へ分泌されるので、肝臓から上手く分泌されたとしても胆管が胆石などで詰まってしまうと行き場を失った直接ビリルビンが血中へ溢れ出してしまいます。
その為、胆道に異常があると直接ビリルビンが高くなってしまいます。
ちなみに、膵臓と総胆管は繋がっているので膵頭部癌でも胆管は狭窄します。
ビリルビンが高い時に疑われる疾患
前述した「ビリルビンが高くなる原因」を踏まえて直接ビリルビンと間接ビリルビンの増え方を見ると原因を予想することができます。
間接ビリルビンが優位に高くなっている場合
間接ビリルビンが高い場合は胆管などの異常ではなく、赤血球が多く壊されている可能性やグルクロン酸抱合がうまく行えていない可能性が高いです。
新生児ではグルクロン酸抱合能が低いので新生児黄疸の場合は間接ビリルビンが高くなっていることが多いです。
グルクロン酸抱合能に問題が無さそうな場合は溶血性黄疸などの溶血が起こっている可能性が高いです。
直接ビリルビンが優位に高くなっている場合
直接ビリルビンが優位に高い場合はグルクロン酸抱合までは問題なく行われていると考えて良いでしょう。
溶血が起こっている場合は間接ビリルビンも増えていきますが、直接ビリルビンが優位に高くなっているのであれば肝臓より後ろの胆道に問題がある可能性あります。
その場合は胆石や膵頭部癌などで胆道が閉塞している可能性があります。
勿論、肝臓の疾患でも直接ビリルビンは上昇します。
総ビリルビンが高い場合はアルコール性肝炎やウイルス性肝炎、肝硬変、肝臓がん等の肝臓疾患の可能性もありますので総ビリルビンが20を超えてくる場合はしっかりと検査する必要があります。
ビリルビンが高い時の自覚症状
ビリルビンが高い時の最大の自覚症状は黄疸です。
軽度の黄疸でも白目を見れば比較的判断できる症状です。
その他の主な症状は灰色便と全身のかゆみです。
灰色便になるのは胆道などがのつまりが原因でビリルビン(色素)が腸まで流れて来ない事が原因です。
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