結論、何が違う?
端的に結論から申し上げますと、ヒダントールは「フェニトインの単剤」でヒダントールF配合錠は「フェニトイン(25㎎)、フェノバルビタール(8.333㎎)、安息香酸ナトリウムカフェイン(16.667㎎)」の配合剤という点で異なります。
ヒダントールF配合錠は元々ヒダントールFという名称でしたが、医療事故防止のため2009年にヒダントールF配合錠へ変更されています。
ヒダントールF配合錠はなぜ誕生した?
ヒダントールF配合錠は東京大学医学部附属病院で高頻度にセット処方される約束処方を製品化したものだそうです。安息香酸ナトリウムカフェインはフェノバルビタールの眠気を予防するために配合されています。
適応、用法用量は?
適応はどちらも同じで「①てんかんのけいれん発作{強直間代発作(全般けいれん発作、大発作)、焦点発作}(ジャクソン型発作を含む)②自律神経発作、精神運動発作」となっています。
添付文書上の用法には違いがあり、ヒダントールは「毎食後3回に分割経口投与」となっており、ヒダントールFは「分割経口投与」と回数も指定がなく食後という指定もありません。
ヒダントール、ヒダントールF配合錠ともに食事の影響については添付文書にもインタビューフォームにも記載がないので何故ヒダントールF配合錠は食後である必要がないのかは不明ですが、てんかんに用いる薬ということを考えるとどちらにしても食前なら食前、食後なら食後と毎回同じにした方が良いと思われます。
用量はヒダントールは成人200~300㎎/日、ヒダントールF配合錠は6~12錠/日(フェニトイン150~300mg)となっており若干ヒダントールF配合錠の方が幅が広く設定されています。
禁忌の違い
禁忌は若干ですが異なります。
ヒダントールF配合錠はフェノバルビタールが配合されている分、ヒダントール錠より多くなっています。
薬物動態には違いがあるので注意
フェニトインの薬物動態にも違いがありますので、フェニトインを同じ量投与しても全く同じ結果ではないことは留意しておきましょう。
ヒダントール錠は25㎎錠と100㎎錠間でも違いが出ていることに驚きました。てんかんの場合は細かな用量調節をされている患者さんもいるので規格を変更しても全く問題ないとは言い切れなさそうです。