どうも、シンパパ薬剤師Kです。
少し前に睡眠薬の作用時間などについて纏めたのですが、今回は睡眠薬の筋弛緩作用について考えてみようと思います。
睡眠薬の筋弛緩作用について考える理由
睡眠薬は意外と日常的に処方されている薬です。
気軽に飲むべき薬ではないのですが、高齢者の不眠に対して良く処方されているのを目にします。
その不眠も加齢に伴い短くなる睡眠時間を「睡眠時間が短くなったから不眠症だ」と認識してDrに相談しているようなケースも珍しくありません。
睡眠薬の多くは依存性やふらつき、転倒などのリスクがあります。
高齢者の場合は、「睡眠薬服用により転倒して骨折、寝たきりになりどんどん元気がなくなる」という危険性が隠れています。高齢者が寝たきりの内に失った筋力を再度付け直すという事はかなり難しい事ですので薬剤師としてそのリスクを回避できるような指導を心がけたいですね。
受容体による作用の違い
睡眠薬のほとんどはベンゾジアゼピン受容体に作用して催眠作用を発揮します。
ベンゾジアゼピン受容体にはω1~ω3のサブタイプがありω1が鎮静・催眠作用に、ω2が筋弛緩作用に関与すると言われています。
この受容体への選択性によって弛緩作用が強く出る睡眠薬とそうでない睡眠薬の違いが出てきます。
筋弛緩作用の少ない睡眠薬
筋弛緩作用が少ない薬剤は、比較的ω1受容体に選択性が高い薬剤という事になります。
非ベンゾジアゼピン系薬のゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロンはどれもω2受容体よりω1受容体に選択性が高い薬剤です。
特にゾルピデムのω1受容体への選択性は非常に高いです。
ベンゾジアゼピン系薬ではブロチゾラム、クアゼパム、アルプラゾラム、フルタゾラムあたりが筋弛緩作用の弱い薬剤です。
筋弛緩作用が弱い薬剤 | |
非ベンゾジアゼピン | ゾルピデム ゾピクロン エスゾピクロン 等 |
ベンゾジアゼピン | アルプラゾラム クアゼパム フルタゾラム ブロチゾラム 等 |
筋弛緩作用が強い睡眠薬
逆に筋弛緩作用が強い薬剤をあげると、ブロマゼパムとジアゼパムが強めの筋弛緩作用があるとされています。
次いでエチゾラム、フルラゾラム、エスタゾラム、ニトラゼパム、フルニトラゼパムって感じです。
この辺は個人差があるので明確な強さの比較はできないと思います。
ただこれらの薬剤は先に挙げた筋弛緩作用が弱い薬剤に比べてふらつきなどの副作用により注意する必要があることは確かです。
筋弛緩作用 | 筋弛緩作用が強い薬剤 |
高 | ブロマゼパム ジアゼパム 等 |
中 | エスタゾラム エチゾラム ニトラゼパム フルニトラゼパム フルラゼパム 等 |
筋弛緩作用のメリット
ふらつきや転倒の事を考えると厄介な印象を受ける筋弛緩作用ですがメリットもあります。
体の緊張や凝りを改善してくれることを期待して処方されることもあります。
不安が強い患者さんとか凝りが気になる患者さんには筋弛緩作用はメリットになり得ます。
個人的にはこむら返りもある不眠症に結構期待できるのでは?と思っています。
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