今回は過活動膀胱に用いる抗コリン薬ってどう違うのかという事を考えていこうと思います。
イミダフェナシン(ウリトス)、ソリフェナシン(ベシケア)、フェソテロジン(トビエース)、プロピベリン(バップフォー)の4種を比較してみます!
過活動膀胱における抗コリン薬の役割
過活動膀胱は「畜尿障害」と「排尿障害」のどちらか、または両方の発現によって失禁や夜間頻尿などが現れる疾患です。抗コリン薬は膀胱排尿筋のムスカリン受容体(M2,M3)を遮断することで畜尿障害を改善させます。
抗コリン薬を比較していこう
ガイドラインでの推奨はすべてAです。
なので患者背景を無視した場合、治療における優先度は横並びと言えます。
ではそのようなポイントで使い分けや違いが出てくるのか比べていきましょう。
比較するポイントは?
抗コリン薬を比較するうえでの重要ポイントは「ムスカリン受容体への親和性、選択性」「副作用の頻度」「腎障害、肝障害の影響」などです。
過活動膀胱における尿意切迫感はプラセボでも1日2回程度減るというデータもあります。(治療薬投与群は1日3回程度減少)
実際の排尿回数や1回排尿量に比べてプラセボでも改善しているのは尿意切迫感には「薬を飲んでいる」という安心感が関与していると考えられますね。
ムスカリン受容体に対する親和性
抗コリン作用が余計なところに出てしまうのは思わぬ副作用の発現に影響してしまうのでムスカリン受容体に対する親和性は比較するうえで重要ポイントになってきます。
副作用
各々インタビューフォームを参考に副作用の発現率を見ていきましょう。
イミダフェナシン(ウリトス)の使用成績調査によると副作用の発現は11.3%で胃腸障害が4.8%で一番高く、次に高いのが口渇の2.4%でした。尿路障害は1.7%と割と低めです。
ベシケア(ソリフェナシン)の製造販売後調査によると副作用の発現率は14.8%で口渇が4.5%で一番高く便秘が3.5%と2番目に高かったです。残尿感増加が1.6%、排尿困難が1.1%です。
トビエースは使用成績調査のデータがまだなさそうで、臨床成績のデータを参考にします。(臨床成績の発現率は使用成績調査より高いので比較は出来ませんが。。)
国内長期投与試験によると副作用の発現率は67.1%とかなり高い数値です。口渇は50%で、残尿感と排尿困難は2.7%でした。元々副作用の発現率が67.1%という事を考えると残尿感と排尿困難の頻度はそんなに高くないかもしれません。
バップフォーの使用成績調査によると副作用の発現率は9.3%で泌尿器系、消化器系、口渇がそれぞれ4%ほどです。
腎障害、肝障害への注意
肝臓、腎臓の影響を受けますのでそれぞれ投与量を気に掛ける必要があります。プロピベリン(バップフォー)は腎障害、肝障害で副作用リスク上昇の可能性がありますが投与量に変更はないようです。
なんにせよ、ベシケアは重度の肝障害には禁忌という事は頭に入れておきたいですね◎
治療効果
治療効果は排尿回数、1回排尿量、排尿切迫感の3つをプラセボと比べてどれだけ改善しているのかを見ていこうと思います。
これを見るとベシケアの治療効果が高いように感じますね。
気になったのがトビエースは4㎎でも8㎎でも殆ど治療効果が変わらないってところです。
副作用はそれなりに増えるので8㎎に増やすメリットってそんなにないんじゃないかなあ??
まとめ
・過活動膀胱における抗コリン薬はガイドラインの推奨度A ・イミダフェナシン(ウリトス)、ソリフェナシン(ベシケア)、プロピベリン(バップフォー)はM3受容体への親和性が高い ・治療効果はソリフェナシン(ベシケア)が高いかも ・排尿切迫感はプラセボでも効果があるので気持ちの影響が大きい ・トビエースは4㎎でも8㎎でも治療効果にあまり差がない
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