肝代謝と腎排泄ってどう見分けるの?

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医薬品

どうもシンパパ薬剤師Kです。
今回は薬剤師にとって重要な知識の一つである代謝経路について解説していこうと思います。

肝代謝と腎排泄

薬物は主に肝臓で代謝されて腎臓で排泄されますので、薬剤師は肝臓と腎臓の機能によって薬の量が適正か判断できる必要があります。
そのためには薬が肝代謝なのか腎排泄なのかを見分けなくてはなりません。
添付文書を見れば肝機能や腎機能が低下している場合の投与量など書いてありますが、薬剤師としてこの薬はどう代謝されて排泄されるのかを読み解ける力を身につけましょう。

腎代謝という言葉も用いられますが、個人的には腎排泄という言葉が適切かなと感じています。
薬の代謝の話をすると肝臓と腎臓が横並びに考える方もいますが、ADMEを考えれば肝代謝の後ろに腎排泄がいるので横並びではないですよね。厳密にいうと肝臓も胆汁排泄があるので代謝だけではないんですけどね。

じゃあどう考える?

では実際にはどう考えればいいのか。
とりあえず見るべきは尿中排泄率でしょう。
尿中の未変化体排泄率が高ければ腎排泄がメインであると思って大丈夫です。
このパターンはシンプルなので難しく考えなくてもOKですね。

逆に尿中未変化体排泄率が低い場合は肝臓で代謝を受けている以外にも胆汁に排泄されていると言う可能性を考えます。
ここで注意したいのが活性代謝物によって薬効を示す薬物の場合です。
このタイプの薬は尿中未変化体が少なくても腎排泄の可能性があります。
尿中に未変化体はなくても活性代謝物は排泄されている可能性があるからです。

添付文書を読めば大体書いてある

ここまでは分かっていても添付文書から読み解けなくては意味がありません。
とはいえ、添付文書には「吸収、分布、代謝、排泄」について記載があるのでそこを読めば大体わかります。(ジェネリックだと書いてない可能性大)

活性代謝物が薬効を示す例としてクラリチン(ロラタジン)の添付文書を見てみましょう。

代謝の項目を読むとロラタジンがデスロラタジンに代謝されるのが分かりますが、どれくらい代謝されるかは分かりませんね。
インタビューフォームを読むと初回通過効果の影響が大きいことが書かれており、早い段階でロラタジンの多くはデスロラタジンに変換されていることが予想できます。

排泄の項目では尿中と糞中に40%ずつ排泄されていることが分かりますが、尿中にはロラタジンもデスロラタジンも殆ど含まれていないことも書かれています。

つまり、デスロラタジンから更に代謝されて胆汁中と尿中に排泄されるということでしょう。
排泄量は肝臓と腎臓どちらも同程度ですので、代謝に関与している肝臓の方が腎臓に比べて排泄に影響を与えると考えられます。

実際にインタビューフォームに記載がある肝障害患者と腎障害患者のAUCへの影響を見ると、腎障害患者のロラタジンのAUCは1.5倍程度、肝障害患者のロラタジンのAUCは3倍程度である事が記載されているので、やはり肝臓の方がロラタジンの排泄に関与していると考えていいでしょう。

簡単にまとめると、、

①薬物の代謝・排泄について調べるときにはまず「尿中排泄率」を見る
②尿中に未変化体が多く排泄されている場合は腎排泄が主な排泄経路と考えてOK
③そうでなければ肝臓による代謝か胆汁への排泄がある
④尿中未変化体が少なくても変化した形で尿へ排泄されている可能性もあるので注意

ざっくりいうと上記のとおりです。
肝臓で代謝・排泄を受けなかった物質は尿に流れてきます。
ただし、極性が低いと水に溶けないので腎臓までたどり着いても再吸収されて再び循環されてしまいます。
肝臓での代謝は「基本的に水に溶けるようにして排泄しやすくする」ということを頭に入れて考えるとわかりやすいかもしれません。

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