どうも、シンパパ薬剤師Kです。
2021年12月に発売開始された 「経口コロナ治療薬 ラベグリオ(モルヌピラビル)」について情報をまとめていこうと思います。
流通管理のための「ラゲブリオ登録センター」はMSDのHPから飛べます。
その他、流通の手引きや制限については今回まとめていません。
ラゲブリオの有効性と副作用、耐性についてはこちらの記事をご覧ください。
どういう作用なのか
まずこの薬がどうコロナに効くのか、ラゲブリオの作用機序を見ていきましょう。
添付文書にはこのように書いてあります。
モルヌピラビルはプロドラッグであり、NHCに代謝され細胞内に取り込まれた後、活性型であるNHC-TPにリン酸化される。NHC-TPがウイルス由来RNAポリメラーゼによりウイルスRNAに取り込まれた結果、ウイルスゲノムのエラー頻度が増加し、ウイルスの増殖が阻害される
簡単に言えば「わざとウイルスに取り込まれて、ウイルスの内側からエラーを起こして増殖させない」作用ですね。
投与対象者
R4年1月現在、ガイドラインを参考に投与対象が列挙されています。
◎61歳以上 ◎活動性のがん(免疫抑制又は高い死亡率を伴わないがんは除く) ◎慢性腎臓病(CKD) ◎慢性閉塞性肺疾患 ◎肥満(BMI:30以上) ◎重篤な心疾患(心不全や冠動脈疾患 又は 心筋症) ◎糖尿病 ◎ダウン症 ◎脳神経疾患(多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等) ◎コントロール不良の HIV 感染症及び AIDS ◎肝硬変等の重度の肝臓疾患 ◎臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後
これらの条件を目安にDrが投与の必要性を検討して処方をしてくれるので「60歳以下だからダメだ!」とかそういう訳ではないようです。
用法用量
通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。
18歳未満の子供は不可で、日数が5日間と決まっています。
肝心の服用方法ですが、1日2回のタイミングは記載されていません。
そうすると当然、何時間くらい空ければ良いのかという疑問が生まれますよね。
添付文書の臨床試験では12時間空けて1日2回服用していますので、12時間間隔がベースになります。
注意事項
生殖能と有する患者
妊娠可能な女性に対しては、投与中だけでなく投与後一定期間は適切な避妊が必要と書いてあります。
添付文書とは別の 「妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、または妊娠する可能性のある女性」への投与に関するお願い という資料には「少なくとも最終投与後4日間」という記載があります。
4日間の根拠は「NHCの半減期の最大値(約19時間)の約5倍」からきているそうです。
女性についてしか書かれていませんが、個人的には男性も同様の対応をする方が良いと思います。
製品Q&Aに「男性は避妊する必要なし」という回答が追加されていました。
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌です。
その理由は、NHCの臨床暴露量の8倍に相当する用量で催奇形性、胚・胎児致死が認められており、3倍以上に相当する用量で胎児の発育遅延が認められているからです。
授乳婦
授乳婦に対しては有益性投与です。
母乳栄養を顧慮して授乳を継続するか中止するか検討するよう記載がありますが、母乳への移行についてのデータはないので投与する場合は授乳は中止する方が良いと思います。
腎機能障害
ラゲブリオ(モルヌピラビル)の主要な消失経路は腎排泄ではない為、軽度・中等度の腎機能障害は薬物動態に大きな影響は与えません。
重度の腎障害・透析の場合において薬物動態の評価は行っていないので現状不明です。
肝機能障害
肝機能障害における薬物動態の評価は重症度を問わず行われていません。
ですが、非臨床試験の結果では主要な消失経路は肝臓ではないと考えられており、代謝酵素は全身に広く分布していると館得られているので肝障害によって薬物動態に大きな影響は与えないのではないかと予想できます。
食事の影響
高脂肪食摂取後に投与した場合は空腹時に比べてCmaxが35%低下しますが、AUCはどちらでも同程度なので食事とは関係なく投与可能です。
ラゲブリオの基本まとめ
・ウイルスRNAに取り込まれてエラーを起こし、ウイルスの増殖を抑制させる ・1回800mgを12時間間隔で1日2回。 ・妊婦には禁忌で、投与終了後4日間までは避妊する ・授乳婦は有益性投与。母乳への移行にかんするデータはない ・腎機能障害と肝機能障害でも大きく薬物動態に影響するとは考えにくい ・食事の影響はあるものの、AUCは同等なので食事と関係なく投与可能
↓ラゲブリオの有効性と副作用、耐性はこちらの記事↓
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