どうも、シンパパ薬剤師Kです。
ここ数日、新型コロナに関する記事を更新しているので、コロナで話題になった「肺の線維化」に大きくかかわる「サイトカインストーム」についてお話ししようと思います。
サイトカインストームとは
感染症などによって肺にダメージが与えられると当然ながら肺はダメージから肺を守ろうとします。
その際、自己免疫機構が亢進してサイトカインたちが多く発現します。
多く発現したサイトカインたちが暴走することをサイトカインストームといいます。
サイトカインが過剰に発現しサイトカインストームが起きると、体を守るどころか炎症や肺の線維化を進めることになってしまいます。
サイトカインとは
サイトカインってなに?
サイトカインは、免疫の亢進・抑制に大きくかかわる生体物質です。
免疫の調節に関わる「インターロイキン」
ウイルスなどの増殖を抑える「インターフェロン」
白血球の遊走させる「ケモカイン」など、様々な物質の総称です。
ウイルスを増やさないようにしたり免疫力に関与するなら、
サイトカインがいっぱいある分には問題ないように思うんだけど。。
確かにそう思えますよね。
何故、サイトカインが多すぎると良くないのか説明しますね。
サイトカインが多すぎると
サイトカインは炎症を促進したり、線維化を促進したりするものもあります。
サイトカインが多すぎると、これらの悪い側面が強く出てしまいます。
コロナ感染で肺が線維化するという事も報道番組などで取り上げられていますが、これも恐らくサイトカインストームが原因だと思われます。
炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカイン
炎症性サイトカインにはTNF-α、IL-1、IL-6、IL-8、IL-12、IL-18などが挙げられます。
抗炎症性サイトカインはIL-10、TGF-βなどが挙げられます。
線維化に関わるサイトカイン
現段階では、TGF-βとPDGFが線維化に大きくかかわっていると推測されています。
サイトカイン遺伝子を強制発現した実験では、TGF-βとPDGFを導入した肺で炎症を伴わない線維化が確認できたそうです。
炎症性サイトカインであるIL-6を導入した肺では間質に細胞浸潤は認められたものの、明確な線維化はなかったそうです。
線維化に大きく関わっているであろうTGF-βとPDGFの発現がどのように他の因子と関連付けられるかが分かっていません。
コロナ重症化予防のための免疫抑制剤
ここまで説明してきた内容で「過剰な免疫力は毒」という事が分かったと思います。
感染症に免疫抑制剤??なんで??
なんて思っていましたが、サイトカインストームによる肺へのダメージを抑制することが目的だったわけです。
先日記事にした、オルミエントはまさにこのサイトカインストームによる重症化を防ぐ役割がある薬です。(オルミエントについての記事はこちら)
免疫力を低下させることにも、勿論リスクはあります。
TGF-βとPDGFのメカニズムが分かってくれば別の角度からの線維化予防が出来そうですよね。
このメカニズムの逸早い解明を期待したいですね。
コメント