どうも、シンパパ薬剤師Kです。
今回は眠剤について少しまとめていきます。
ω1受容体とω2受容体
睡眠薬はベンゾジアゼピンのω受容体に作用するものが多いです。
デパス(エチゾラム)やハルシオン(トリアゾラム)などのベンゾジアゼピン系睡眠薬と、アモバン(ゾピクロン)やマイスリー(ゾルピデム)などの非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はこのω受容体に作用します。
ω受容体は2種類あります。睡眠作用に関与するω1受容体と筋弛緩作用に関与するω2受容体です。
トリアゾラムは筋弛緩作用が強く出る
トリアゾラムなどのベンゾジアゼピン系はどちらの受容体にも強く作用するので、筋弛緩作用が強く出てしまいます。そのため、夜間のトイレなどでふらついてしまうリスクになります。
一方、ゾルピデムなどの非ベンゾジアゼピン系はω1受容体だけに作用するため、ふらつきなどのリスクにならないという強みがあります。
主な代謝酵素
ゾルピデムは様々なCYPで代謝されるので、一つくらいCYPが阻害されてもそれほど大きな影響は受けません。
トリアゾラムは主にCYP3A4によって代謝されるので、CYP3A4が阻害された時に、ゾルピデムより大きく影響を受けてしまいます。そのため、CYP3A4を阻害するアゾール系の抗真菌薬などと併用禁忌になっていますので注意が必要です。
ゾルピデムとトリアゾラムどっちが強い?
ゾルピデム10mgとトリアゾラム0.25㎎は同等の強さだといわれています。
ですが、トリアゾラムは0.5㎎まで増量出来るので、最大火力という点ではトリアゾラムの方が強いですね。
高齢者の場合、トリアゾラムは0.25㎎が最大用量です。
こうした睡眠薬は高齢者に投与されていることが非常に多いです。
昔に比べて睡眠薬に対して制限が厳しくなってきていますが、最大用量や最大日数を超えた処方に出会うことはあるので薬剤師が気づけるようにしましょう。
トリアゾラムは効果発現がかなり早い!
トリアゾラムは中枢に届くまでの時間が15分程度とかなり早いです。
ゾルピデムは30分ほどで中枢に届くのでトリアゾラムよりは遅いのですが、睡眠薬全体では超即効型に該当します。
半減期はトリアゾラム3時間程度、ゾルピデム2時間程度と効果が切れるのも早いです。
睡眠薬の併用は無意味!?
良く睡眠薬を併用している患者さんを目にします。
実は、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の併用が有効であるというエビデンスはないようです。いたずらに依存や副作用のリスクを増加させてしまうので気を付けましょう。
また、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系合計3剤以上の併用は避けなくてはいけません。
複数の医療機関に受診している場合は、特に注意が必要です。
僕は実際、2つの病院から合計で4剤の併用を確認した例があります。
その時は、持ってきた処方箋の処方もとに疑義紹介、もう一つの病院に服薬情報提供書をFAXしました。
まとめ
・ベンゾジアゼピンの受容体はω1受容体とω2受容体がある ・ω1受容体は睡眠作用に関与、ω2受容体は筋弛緩作用に関与 ・トリアゾラムなどのベンゾジアゼピン系は筋弛緩作用が強く出るので注意 ・トリアゾラムの作用発現時間は15分程度 ・ゾルピデムの作用発現時間は30分程度 ・ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の併用で睡眠作用が強くなるエビデンスがない
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