今回はヤーズ配合錠とヤーズフレックス配合錠の違いについてまとめておこうと思います。
ヤーズ配合錠とヤーズフレックス配合錠の異なるところ
適応の違い
薬剤師が絶対に抑えておきたいのはこの適応の違いです。
ヤーズ配合錠 | ヤーズフレックス配合錠 | |
適応症 | ・月経困難症 | ・月経困難症 ・子宮内膜症に伴う疼痛の改善 ・生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整 |
ヤーズフレックス配合錠は子宮内膜症の痛みと不妊治療に使えます。
飲み方の違い
ヤーズ配合錠は出血の有無に関わらず「1周期28日(実薬24日+プラセボ4日)」で服用する決まった飲み方をしますが、ヤーズフレックス配合錠は25日以降も3日連続で出血が無ければ120日まで続けて服用することが出来ます。(不妊治療で使う場合は14~28日連続服用)
ヤーズフレックス配合錠を月経困難症に対して服用する場合は、ヤーズ配合錠と同じような服用方法も選択できます。ヤーズフレックス配合錠を「24日連続服用後4日間の休薬」を1周期として服用することも出来るのでヤーズ配合錠よりヤーズフレックス配合錠の方が優れています。
ヤーズ配合錠 | ヤーズフレックス配合錠 | |
---|---|---|
月経困難症 | 1日1錠を毎日一定の時刻に定められた順に従って(淡赤色錠から開始する)28日間連続経口投与する。以上28日間を投与1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、29日目から次の周期の錠剤を投与し、以後同様に繰り返す。 | 下記のいずれかを選択する。 ①1日1錠を経口投与する。24日目までは出血の有無にかかわらず連続投与する。25日目以降に3日間連続で出血(点状出血を含む)が認められた場合、又は、連続投与が120日に達した場合は、4日間休薬する。休薬後は出血が終わっているか続いているかにかかわらず、連続投与を開始する。以後同様に連続投与と休薬を繰り返す。 ②1日1錠を24日間連続経口投与し、4日間休薬する。 以上28日間を投与1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、29日目から次の周期の錠剤を投与し、以後同様に繰り返す。 |
子宮内膜症に伴う疼痛の改善 | 適応無し | 1日1錠を経口投与する。24日目までは出血の有無にかかわらず連続投与する。25日目以降に3日間連続で出血(点状出血を含む)が認められた場合、又は、連続投与が120日に達した場合は、4日間休薬する。休薬後は出血が終わっているか続いているかにかかわらず、連続投与を開始する。以後同様に連続投与と休薬を繰り返す。 |
生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整 | 適応無し | 1日1錠を、通常、14~28日間連続経口投与する。 |
画像は販売元であるバイエルのHPから引用しています。
副作用はヤーズフレックスの方が少ない?
副作用はヤーズ配合錠とヤーズフレックス配合錠は同等です。
ヤーズ配合錠とヤーズフレックスの同じところ
実は錠剤は全く同じもの
ヤーズ配合錠の実薬とヤーズフレックス配合錠の錠剤は全く同じです。
なのでヤーズフレックス配合錠をヤーズ配合錠と同じように28日周期で飲んだら得られる効果は全く一緒のはずです。錠剤が一緒なので当然有効成分、成分の量、薬物動態も一緒です。
飲み忘れたときの対応
飲み忘れたときの対応も同じです。
どちらも飲み忘れた場合、「気付いた時点で前日分を服用して当日分はいつもの時間に飲む」という対応をします。2日以上飲み忘れても飲むのは1日2錠です。「今まで忘れていた分+当日分」ではなく「前日分+当日分の計2錠」なので注意しましょう。
結論どっちがいいの?
最後に「じゃあどっちがいいの?」って話をまとめます。
ヤーズフレックス配合錠の方が良い
全体的に考えると、ヤーズフレックス配合錠の方が適応も多いし服用方法も選べるし長く続けられるので生理の回数も減るしでメリットが多いです。ヤーズの後に発売されているので当然ですね。
実際に使用した患者の満足度はヤーズフレックス配合錠の方が高いというデータもあります。
ヤーズ配合錠にも優れている点もある
ただヤーズ配合錠にもメリットがありまして、「プラセボ錠があるので順番に飲み続ければいいという
分かりやすさ」と「ジェネリック(GE、後発品)が発売されているので安く服用できる」という点です。
服用方法が分かりやすい
ヤーズフレックス配合錠はプラセボ錠が無いので休薬期間はお薬を飲みません。4日間の休薬中に「何日間飲んでないのか忘れた」とか「再開するのを忘れていた」という事が発生しがちです。ヤーズ配合錠の休薬期間はプラセボ錠を飲んでいる期間に該当するので何も考えずシートを順番通り飲めばOKです。分かりやすい服用方法はメリットと言えます。
ジェネリックがあるので安い
2023年4月現在、ヤーズ配合錠のジェネリックは発売されていますがヤーズフレックス配合錠のジェネリックは発売されていません。ヤーズ配合錠のジェネリックは「ドロエチ配合錠」で、94.2円/錠(ヤーズ配合錠 214.7円/錠、ヤーズフレックス配合錠 280.1円/錠)とかなり安く服用できるのでこちらもメリットです。