(薬の小話)同じ成分で量が半分なのに値段は60倍ってどういうこと!?

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医薬品

どうも、シンパパ薬剤師Kです。

今日はちょっとした小話をしようと思います。

恐らく、薬剤師の先生方ならご存知の話だと思うのですが、それ以外の方に向けてちょっと面白い話としてご紹介しようと思います。

トレリーフという薬

タイトルにあります「成分の量が半分なのに値段が60倍」のお薬はトレリーフという薬です。

有効成分はゾニサミドという成分でパーキンソン病に使われるお薬で2015年に発売された薬です。

同じ成分のエクセグランという薬

ゾニサミドが含まれるお薬はトレリーフだけでなく、エクセグランというお薬もあり、実はこのエクセグランの方が先に発売されていいます。

エクセグランの発売は1989年で古くから癲癇に使われていました。

トレリーフの開発経緯

では、何故26年後に同じ成分の薬が発売されたのでしょうか?

開発の経緯はこうです。

2000年頃にパーキンソン病と癲癇を併発していた患者さんがいました。

その患者さんに対してエクセグランを使ったら

あれ?パーキンソン病にも効いてない??

となり、パーキンソン病の改善にゾニサミドが効果を示すのでは無いかと示唆されたのが始まりだそうです。

薬の値段

では実際に薬の値段を見てみましょう。

トレリーフ25mg:966.1円
トレリーフ50mg:1449.1円

エクセグラン100mg:23.6円

トレリーフ50mgの値段はエクセグラン100mgのおよそ60倍です。

トレリーフが高い理由

トレリーフもエクセグランも同じ大日本住友製薬の商品です。

同じ会社の同じ成分の薬で何故こんな訳分からない価格設定になっているのでしょうか。

その理由はこちらです。

・適応追加までの研究費が高額
・他のパーキンソン病治療薬が高く、バランスを保つ為

薬価は国で決められているため、薬の材料費や希少性から製薬企業が勝手に決めている訳ではありません。

もし仮に製薬企業が勝手に決められたら、代わりの治療薬が無い場合、めちゃくちゃ高額にして悪どい儲け方が出来てしまうからです

今の薬価は「類似薬効比較方式」という方法を取られています。
同じ疾患に対して似た効果の薬があれば、その薬を基準に薬価を決めるという方式です。

その為、元々あったエクセグランの値段とは関係なく、高額になっています。

黙ってエクセグランを使えば得じゃない?

ここまで話して勘の良い人はこう思うはずです。

律儀にトレリーフを使わずに、黙ってエクセグラン使えばよくない?

ですが、薬には各々使える疾患が決まっています
それ以外の疾患に使った場合は、保険が使えません
これが薬剤師の仕事で難しい事の一つなんですがそれはまた別の話で。。

トレリーフ50㎎は1450円です。3割負担だと430円です。
一方、エクセグランは保険が使えず10割負担でも50㎎なら10円です。

じゃあ保険使えなくてもいいじゃん。

そうなんですよね。保険使えなくてもエクセグランの方が安いんですよ。

その抜け道を使えなくするために、2009年にエクセグランを保険適応以外で使用することが禁じられています。
エクセグランを使ってしまい安く済ませようとすると、研究しただけ製薬企業が損してしまう為、医療の発展を妨げてしまう恐れがあります。

更に、急にめちゃくちゃ安いパーキンソン病の薬が出たら、今まで使われていた薬の売り上げが激減してしまう恐れもあります。これに関しては他の製薬企業の存続に関わります。

新薬の開発には当たり前のようにかかります。
それも1億2億ではなく400億とかかかります。

医療業界は儲かりすぎだ」とよく言われますが、これだけの費用が掛かっています。
そして、それは皆さんの健康の為にあるものです。

やはりある程度かかった予算を考えて、それなりの値段設定になっているということですね。

医薬品 雑談
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