輸液の基本!リンゲル液(酢酸、乳酸、重炭酸)ってなにが違う?

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病院で勤めていない方は輸液についてよく分からず苦手意識を持っていることが多いと思います。僕もそうです。
輸液について勉強したことをメモ代わりにまとめておこうかと思います。自分で調べた内容なので間違えている可能性を留意してくださいね。

輸液の分類

まず輸液を考えるうえで重要なのが「どこに分布するか」ということです。この分布に関しては「浸透圧」と「成分が膜を通過するかどうか」がポイントになりますが情報量が多くなるのでこれはまた別でまとめます。
分布については以下の3つに大別して考えましょう。
血漿だけに分布する輸液:血漿増量剤(デキストラン製剤、ヒドロキシエチルデンプン(HES))
血漿を含む細胞外液に分布する輸液:細胞外液補充液(生理食塩水、(酢酸、乳酸、重炭酸)リンゲル液、糖加リンゲル液)
細胞外液と細胞内液(全体)に分布する輸液:低張電解質輸液(維持液類、糖質輸液)

①血漿増量剤(デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン(HES))

血漿増量剤はその名の通り血管内の循環血液量を増量させることが目的です。主に急性出血や心臓手術などで血漿タンパクを失った場合などに用いられます。デキストラン製剤は腎障害を起こす可能性があるので使用は5日以内の制限があります。

②細胞外液補充液(生理食塩水、リンゲル液)

細胞外液は出血や脱水などで最も喪失しやすい体液です。
生理食塩水はみなさんご存じの通りNaClのみの単純な組成ですが、リンゲル液はNaClだけでなくK⁺やCa²⁺を配合して体の組成に近付けた輸液です。そこから乳酸リンゲル液や炭酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液と改良されています。さらに糖分を加えた糖加酢酸リンゲル液と糖加乳酸リンゲル液というものもあります。

【生理食塩水】

生理食塩水は長時間投与することでNa⁺とCl⁻の過剰になるリスクがあります。酢酸or乳酸リンゲル液はいわば進化版みたいなものですが、生理食塩水も割と普通に使われています。特に薬剤の溶解などリンゲル液とは異なる使い道があるのでよく使います。
主な使われ方は以下の通りです。

20ml規格→one shot静注の薬剤溶解液として
50、100ml規格→抗生剤などの薬剤溶解液として
250~500ml規格→細胞外液、NaCl補充の点滴
500~1000mlのバッグ製剤やボトルは洗浄用などに用いられる  などなど

【リンゲル液】

リンゲル液にはいくつか種類があり、どれも生理食塩水をベースに他の電解質や糖質を加えて、より体に近い組成にしたものである。
リンゲル液 酢酸リンゲル液と乳酸リンゲル液(重炭酸リンゲル液)糖加乳酸リンゲル液と糖加酢酸リンゲル液と派生しています。
リンゲル液は生理食塩水をベースにカリウムやカルシウムを加えて体内の組成に近づけた製剤ですが、生理食塩水と同様にアルカリ化(H⁺を捕捉する)成分がないので大量に輸液した時にNa⁺、Cl⁻の過剰や重炭酸イオン濃度の低下のリスクがあります。

そのリスクを改善するように作られたのが酢酸リンゲル液と乳酸リンゲル液である。(重炭酸リンゲル液もある)

重炭酸リンゲル液は酢酸リンゲル液と乳酸リンゲル液と異なりアルカリ化に代謝を必要としないので肝臓の機能に依存しません。肝機能が悪い場合や循環不全の場合にも使いやすいというメリットがありますが、どうやら臨床上大きな違いはないという意見もチラホラあるようで真偽のほどは僕には分かりません。。

日常的に輸液が必要な患者は経口からの糖分摂取が不十分なケースも多いため、乳酸(酢酸)リンゲル液に糖分を加えた糖加乳酸(酢酸)リンゲル液というものもあります。
1Lあたり50gの糖分が含まれている(糖分5%)製剤が殆どで、1Lあたり糖分10gに抑えられたフィジオ140という製剤もあります。
フィジオ140は糖分が少ない特徴の他に、Na⁺が140mEq/L(他の製剤は130mEq/Lが多い)、浸透圧比が約1(他の製剤より低い)、Mg²⁺が2mEq/L含まれているという特徴もあります。僕が務めている病院ではこいつの出番が多いです。

乳酸リンゲル液による乳酸アシドーシスの可能性は?

乳酸リンゲル液によって乳酸が増えて乳酸アシドーシスになるんじゃないかという疑問を抱く方もいると思います。僕もそう思って調べてみた結果、末梢循環不全による乳酸アシドーシス時に乳酸リンゲル液を投与すると乳酸蓄積を助長するという意見もあるようです。
しかし体の乳酸代謝能力を考えると輸液で体内に増える乳酸の量は少なく、日常臨床での投与においては乳酸が蓄積を助長する可能性は低いという見解もあるので結局はその医師の好みや考え次第なのかもしれません。

③低張電解質輸液(維持液類)

低張電解質輸液は細胞外だけでなく細胞内にも分布する輸液です。
今までの輸液は異常な体液の喪失に対して使われますが、低張電解質輸液は生理的な体液の喪失に対して使われます。つまり生きていく上で消失してしまう水分を補って生命を維持していくための輸液というわけですね。
基本的には生理食塩水と5%ブドウ糖液を混合した薬剤で、1号液は2/3~1/2生理食塩水2号液は1/2~1/3生理食塩水3号液は1/3~1/4生理食塩水4号液は1/5生理食塩水の電解質濃度に調節されてされていることが一般的です。

1号液と3号液が使われるのがほとんどで、K入ってない1号液をとりあえず使って電解質の具合を見ながら3号液に切り替えたりしているような印象です。
この辺はまだ僕の知識がほぼ無いので病棟業務で知識を得たら更新していこうと思います。

医薬品
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