どうも、シンパパ薬剤師Kです。
前回はEPA製剤・前々回はスタチン系のお話をしてきたので、今回はフィブラート系についてお話ししようと思います。
フィブラート系の中から、ベザトールとパルモディアとリピディルを対象として比較していこうと思います。
ベザトール
ベザトールは腎排泄型なので肝障害の患者へ投与が可能です。後述する2剤は肝障害の患者に投与制限があります。
ですが、ベザトールは腎機能の影響をもろに受けるので高齢者にはちょっと使いづらい印象です。
通常量は200㎎×2回の1日400㎎ですが、腎機能に応じて100㎎×2回の200mgに減量します。
1日400㎎:Scr≦1.5mg/dL 又は Ccr≧60mL/min 1日200㎎:Scr=1.5~2.0㎎/dL 又は Ccr=50~60mL/min
重篤な腎障害やScrが2.0mg/dLを超える患者には禁忌になります。
インタビューフォームによると、副作用の頻度は3.91%で、CK上昇が1.02%、AST上昇が0.54%、ALT上昇が0.37%と肝機能腎機能に関するものが多くを占めます。
横紋筋融解症で表れる筋・骨格系障害は0.16%と単剤では思ったより低い数値です。
併用時に注意して欲しいのが、ワーファリンとSU薬です。
併用によりワーファリンとSU薬の作用を増強します。
脂質異常症の患者さんがワーファリンとSU薬を服用しているケースはあるあるですので、気を付けたい併用例ですね。
パルモディア
パルモディアは肝代謝なのでCYPと有機アニオントランスポーターの影響を受けます。
シクロスポリンとリファンピシンは併用禁忌です。
禁忌ではないのですが、クロピトグレルのAUCを2.37倍にするので注意が必要ですね。
また、パルモディアはフィブラート系の作用点であるPPARαへの選択性が高いので副作用が少ないとされています。
ですが、インタビューフォームによると副作用の頻度は14.5%ですので、それなりに高いですよね。
注目したい副作用が胆石(1.4%)と糖尿病(1.4%)です。
他の2剤では、SU薬の作用増強による低血糖を気にする必要がありますが、パルモディアの場合はその逆の糖尿病(血糖上昇)の発現が副作用として報告されています。
また、胆石の副作用についてはリピディルでも報告されているので、リピディルの説明の際に後述いたします。
その他の副作用は肝機能に関わることが多く、消化器障害や薬疹等が少例報告されています。
リピディル
リピディルはCYPの影響をあまり受けないという特徴を持っています。
その為、2021年時点でスタチン以外に併用禁忌の薬はありません。
ですが肝機能を悪化させてしまう報告が多く、軽度の肝障害でも禁忌となっています。
(パルモディアは重篤な肝障害に禁忌)
また、投与開始後3か月は毎月肝機能検査が必要です。
併用に注意したいのはベザトールと同様にワーファリンとSU薬です。リピディルもこの2剤の作用を増強させてしまいます。
更に、リピディルの活性代謝物であるフェノフィブリンが抗凝固剤の作用も強めてしまう事も報告されています。
ワーファリン同様、併用されるケースは良くあるのでリピディルの処方を見たときにこの事を思い出せると良いですね。
リピディルの副作用の報告は13.29%とパルモディアと大きな差はありません。
パルモディアで挙げた胆石は、頻度不明ですがリピディルでも報告されています。
胆石が生じる原因として、2剤とも胆汁中にコレステロールを排泄する事が報告されています。
その為、リピディルは胆のう疾患のある患者に、パルモディアは胆石のある患者に禁忌となっています。
おまけ程度の話ですが、リピディルは糖尿病性網膜症の進行を防ぐ効果が確認されており、豪州では適応に追加されているそうです。
更に糖尿病患者の冠動脈狭窄、下肢切断リスク低下も示唆されています。
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