【抗精神病薬Vol2】NaSSAとは?最強の抗うつ作用を示すカルフォルニア・ロケットって知ってます?

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医薬品

どうも、シンパパ薬剤師Kです。

今回は抗精神病薬Vol2、NaSSAについてのお話です!
前回はSSRIとSNRIについてまとめました。併せて読むことをお勧めします!

【抗精神病薬Vol1】非定型抗精神病薬 SSRIとSNRIについて!どれが強い?併用可能?
どうも、シンパパ薬剤師Kです。今回から抗精神病薬についてまとめていこうと思います。各分類や各薬剤における特徴や違いを見ていこうと思うのですが、1つの記事にまとめようとするとまとまりが無くなりそうなのでいくつかの記事に分けてまとめて...

NaSSAとは

NaSSAとは、作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬の事で日本国内ではリフレックス(ミルタザピン)が発売されています。

α2受容体遮断によりノルアドレナリンの遊離を促進する作用と、セロトニンHT-2受容体とHT-3受容体を遮断する事でHT-1受容体へのセロトニンの作用を高める事で薬効を示します。

SSRIやSNRIとはまた違うメカニズムでセロトニンとノルアドレナリン受容体に作用します。
SSRIとSNRIは作用のメカニズムが被るので基本的に併用しませんが、NaSSAは異なるメカニズムのため併用されます(カルフォルニア・ロケット)。この併用(カルフォルニア・ロケット)については詳しく後述します。

現在日本で発売されているNaSSAはリフレックス(ミルタザピン)だけです。
今回はリフレックスについて詳しく掘り下げていきます。

リフレックス(ミルタザピン)

SSRIとSNRIとは異なる作用機序を持つNaSSAであるミルタザピン。
大うつ病性障害に対してSSRIやSNRIと並んで第一選択の薬です。

適応・用法用量

適応は、うつ病とうつ症状です。

通常成人には1日15mgを初期用量として、15~30mgを1日1回就寝前に服用する。
年齢、症状に応じ1日45mgまで増量可能
増量の際は、1週間以上の間隔をあけて15mgずつ行う。
必要最低限になるように適宜増減する。

K
K

添付文書に「急に中止しない事」との記載があります。
減量の制限については記載はありませんが、増量時と同じように15mgずつ減らす方がよいと思います。

禁忌

~禁忌~
・本剤に対して過敏症のある患者
・MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止2週間以内の患者

メンタル系のお薬ですが、意外と禁忌はほとんどなく使いやすいです。

注意事項

CYP3A4で代謝されるので、CYP3A4を誘導したり阻害する薬との併用に注意です。
飲酒によって作用が増強されるので(相加的、相乗的な鎮静作用)服用中は飲酒を避けることが望ましいです。といっても飲酒が習慣になってる人にやめさせるのはストレスにもなるので実際は難しい所です。飲酒する量を減らしつつ増量時に注意をするのが現実的なところでしょうか。

運転は「従事させないように注意」なので、運転しちゃダメです。

妊婦さんへは有益性投与で、授乳婦へは授乳を避ける事となってます。
授乳中へ移行するので要注意ですね。

副作用

副作用は承認時で82.7%でかなり高い確率で何かしらの副作用が起きます。
中でも傾眠が50%と顕著で、口渇(20.6%)倦怠感(15.2%)便秘(12.7%)ALT増加(12.4%)で多く確認されています。
傾眠は50%も出てますが、服用が就寝前なので不眠になりがちな「うつ病患者」にはマイナスではなくプラスなのでは?とも思えます。

リフレックスの特徴

リフレックスは従来の抗うつ薬やSSRI、SNRIより早く効果が表れるとされています。
SSRIやSNRIも従来の抗うつ薬より早く効果が表れるとはいえ、2~4週間はかかります
リフレックスの効果発現は1週間程度で、この効果発現までの早さもリフレックス特徴です。

リフレックスが適しているのは不安感や焦燥感が強い患者さんで、不安や焦燥感の改善後に少ししてから意欲の改善がみられるようで、社会復帰に向けてちょうどいいタイミングで意欲が出てくるので優れた効果を期待できるそうです。

副作用の傾眠による日中の眠気は服用していくことで治まるケースもあるので、「眠気のSE
があるから中止」と判断するのはナンセンス
かもしれません。

また、体重増加のSEもありますが留意すべきなのは服用開始から3か月ほどで、それ以降はあまり体重が増え続ける事はないそうです。
体重が増えるといっても、うつ症状が改善したことによって食欲も改善し「元の体重に戻る」という認識で問題ないようです。

K
K

かなりバランスよく精神状態を改善してくれるような印象ですね。

カルフォルニア・ロケット(カルフォルニア・ロケット燃料療法)

カルフォルニア・ロケットとは、SSRI or SNRIとNaSSAを互いに高用量を併用することで高い抗うつ作用を発揮する併用療法です。

SSRI or SNRIによって再吸収阻害されたノルアドレナリンとセロトニンが増えNaSSAによってノルアドレナリンは更に増え、セロトニンは5-HT1へ集中して作用を示すので強い抗うつ作用を発揮するといったメカニズムです。

SSRI+NaSSAもカルフォルニア・ロケットのひとつではあるのですが、基本はSNRIとNaSSAの組み合わせが選ばれます。
ほとんどがサインバルタとリフレックス or イフェクサーSRとリフレックスの組み合わせだそうです。

大うつ病の治療ではSSRIやSNRI、NaSSAなどの単剤がファーストチョイスで、単剤を十分量投与したにもかかわらず症状の改善が不十分だった場合にこのカルフォルニア・ロケットを考慮します

NaSSA→SNRIの順番に追加する方が望ましい

うつ症状が強い患者さんは、NAdなどのモノアミンが枯渇している可能性があるので、まずNaSSAを先行投与してモノアミンを補充してからSNRIで再吸収阻害した方が効果が出やすいという考えもあります。
確かにNAdが枯渇しているのに再吸収阻害したところであまり効果が出ないのは容易に想像できますよね。

逆に、NAdが枯渇している患者にSNRI→NaSSAの順に投与した場合、少ないNAdを再吸収阻害をしてる状態で急にNAdが増えることになります。急激なNAdの増加に伴い副作用が出る可能性があります。NaSSA→SNRIに比べて忍容性はあまり高くないんじゃないかと個人的には思っています。

ですが、SSRIやSNRIの方が先に発売していることもあって、先にSSRIやSNRIを服用しているケースもあります
その場合は増量時のSEを十分に注意しながら慎重に経過を見ていく必要があります

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