先日メーカーさんをお招きして勉強会を開催して頂いたのでメモがてらブログにまとめておこうと思います。
ラピフォートワイプの基本情報
ラピフォートワイプは原発性腋窩多汗症の治療薬で薬液が染み込んだ不織布型の薬剤です。
1枚ごとに個包装になっているので衛生的かつ簡便という特徴があります。
有効成分はグリコピロニウムトシル酸塩水和物で、作用機序はシンプルな抗コリン作用です。汗腺のムスカリンM3受容体へのアセチルコリンの働きを抑えることで発汗を抑えます。
用法は1日1回両腋に塗布です。素手で触っても大丈夫ですが使用後は手を洗う必要があります。
腋以外への使用はできません。また、発汗を抑えるので暑い時期は普段以上に熱中症に気を付ける必要があります。
ラピフォートの名前の由来は「ラピット(迅速な)」と「コンフォート(快適さ)」という2つの単語だそうです。
併用注意や併用禁忌はありませんが抗コリン薬なので、緑内障と前立腺肥大に対して禁忌です。
勉強会で教えていただいた事
効果の実感は速いし長期的
多くの患者さんが2週間以内に50%以上の発汗抑制を実感し、継続的に使うことで1年間しっかりと効果は続いたという試験データがあるそうです。
試験は9歳以上で行われている
試験は9歳以上で行われていたとのことですが、9歳未満に使えないという事ではないとのことで子供にも使用可能です。
手を洗うのは流水でOK
使用後に手を洗う必要があるのですが、石鹸を使わず流水だけでOKです。
10秒間流水で手洗いすることで90%の薬剤が洗い流されるようです。
使うタイミングは夜が望ましい
1日1回で使うタイミングはいつでもOKなのですが、メーカーさん推奨は夜に使う事だそうです。
理由は、副作用が発生した場合に対応しやすい のと 日中は汗で流れてしまう可能性が高いからです。
例えば目に入った場合には散瞳が起こるので日中より夜の方が何かと都合が良いといった感じです。
作用はあくまでも局所だけ
禁忌に緑内障と前立腺肥大症があるので「全身作用もあるのかな?」と思い質問してみたところ「全身作用の可能性は低いが完全否定できるデータが無いので一応禁忌になっている」という旨の回答でした。ですので発汗を抑える作用は塗った部位だけという認識でOKです。
市販の制汗剤より強い効果を期待できる
頂いた資料に市販されている制汗剤とどう違うのかを説明している資料がありました。
多くは書いてありませんが、良く使われているスプレータイプの制汗剤より強い発汗抑制作用があるとされています。発汗を抑えると熱中症のリスクにもなりますので、誰でも使える市販薬に強い発汗抑制作用があるのは危険ですので医薬品より弱いのは当然っちゃ当然かもしれませんね。
プロバンサインとの併用は保険的に微妙
まだ発売したばかりで前例がないのでハッキリとしたことは言えませんが、多汗症に用いられる内服薬のプロバンサインとの併用は保険請求できない可能性がありますので要注意です。
おそらくエクロックゲルも駄目でしょうね。
DrのレセプトにはHDSSの記載が必要
薬局には関係無い事ですが、病院のレセプトにはHDSSのスコアを記載する必要があるそうです。
~HDSSとは~ 原発性局所多汗症の重症度を患者の自覚症状により4段階に分類する指標。 スコア3、スコア4を重症と判定する。
まとめ
・原発性腋窩多汗症に用いられる抗コリン作用のあるシート型の製剤 ・有効成分はグリコピロニウムトシル酸塩水和物 ・1日1回両腋に塗布。(夜が望ましい) ・緑内障と前立腺肥大症は禁忌 ・併用禁忌、併用注意は無いが、保険請求の都合による併用注意はある(例:プロバンサイン) ・効果実感は多くの場合2週間以内に表れ、長期的な効果を期待できる ・手を洗う場合は、石鹸を使わず流水だけでも薬は落ちる。(10秒以上推奨)
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