医療従事者がCa拮抗薬と聞いて真っ先に思い浮かぶのはアムロジピン(ノルバスク)とニフェジピン(アダラート)でしょう。
今回は代表的なCa拮抗薬であるアムロジピンとニフェジピンについて比較しながらまとめていこうと思います。
適応・用法・用量
適応については細かな記載は在りますが、結論、高血圧と狭心症です。
ここに2剤の差はないと考えてよさそうです。
用量用法は表にしてまとめたのでこちらでご確認ください。
高血圧 | 狭心症 | |
アムロジピン | 1日1回 2.5~10㎎ | 1日1回 5㎎ |
ニフェジピン | 1日3回 1回10㎎ | 1日3回 1回10㎎ |
ニフェジピンL(12時間) | 1日2回 1回10~20㎎ | 1日2回 1回20㎎ |
ニフェジピンCR(24時間) | 1日1回 1回20~40㎎ 1日10~20㎎で開始 1日2回 1回40㎎まで増量可 | 1日1回 40㎎ 60㎎まで増量可 |
アムロジピンの方がシンプルですね。
ニフェジピンは主にCR錠が使われていますが、分2も可能なので患者さんに合わせて用量設計出来ます。

ちなみに最も多く処方するCa拮抗薬についてのアンケートでは、約80%の医師がアムロジピンと回答しています。ニフェジピンは約8%と圧倒的にアムロジピンの方が多く使われているようです。
薬物動態
*表の時間はおおよその時間 | Tmax | T1/2 |
アムロジピン | 5~7時間 | 36時間 |
ニフェジピン | 1時間 | 2.5時間 |
ニフェジピンL(12時間) | 2時間 | 4時間 |
ニフェジピンCR(24時間) | 3時間と12時間 2峰性 | 8時間 |
表の時間はおおよその時間です。
アムロジピンは早い段階でしっかり立ち上がってじんわり消失していくような感じで、ニフェジピンは徐々に血中に増えていき割と早く消失していくような感じです。
その特徴から、モーニングサージに対してニフェジピンCR錠がアムロジピンより効果的であるということが示唆されています。
モーニングサージとは
モーニングサージとは起床時における一過性の血圧急上昇のことで、簡単に言うと就寝時血圧と早朝血圧の差です。モーニングサージは脳心血管イベントに関与している事が示唆されています。
夜にニフェジピンを飲めば12時間後の次の日の朝に最高血中濃度を迎えることが出来るので、分2もしくは夜に一回飲むことでモーニングサージに対して効果的だと考えられます。
グレープフルーツジュースによる影響
Ca拮抗薬といえばグレープフルーツジュースとの飲み合わせが有名ですよね。
この2剤はCa拮抗薬の中でもグレープフルーツジュースの影響は割と少ないお薬です。
アムロジピンはAUCとCmaxともに1.1倍程度になり、ニフェジピンはAUCとCmaxが1~2倍程度になるとされています。
どっちが強い?降圧作用
用量 | 降圧率 | 血圧正常化率 | |
アムロジピン | 1日1回 2.5~5㎎ | 78.6% | 47.9% |
ニフェジピン | 1日3~4回 30~80㎎ | 93.4% | - |
ニフェジピンL(12時間) | 1日2~3回 20~40㎎ | 80.7% | 65.5% |
ニフェジピンCR(24時間) | 1日1回 10~40㎎ | 82.7% | 57.3% |
こう見る感じ、強さはアムロジピン<ニフェジピンですかね。
ですが、先ほど少し触れた通りアムロジピンの方が良く使われています。
その理由として、「Tmaxが早く半減期が長いから」 「1日1回で安定した効果が得られる」 「目立った副作用が無い」 という意見があるようです。
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