今回はファモチジンを始め、よく使われる胃酸分泌薬であるH2ブロッカーについて比較していこうかと思います。
H2ブロッカーの特徴
まずはH2ブロッカーの比較に先立ってH2ブロッカー全体の特徴を確認しましょう。
胃酸分泌作用は日中より夜間の方が高い
胃酸分泌がH2ブロッカーの主な作用なのはわざわざ説明する必要はありませんね。
その作用は日中より夜間の方が高いということはご存じでしょうか?多くの薬剤師であれば知っていることかもしれませんが、経歴の浅い薬剤師さんは意外と知らないかもしれません。
一番有名といっても過言ではないファモチジンを例に挙げると、ファモチジン1回20㎎1日2回の日中における酸分泌抑制作用は47%ですが、夜間においては81.2%と結構な差があります。
用法による効果の差はない
薬剤によっては分1や分2など用法を選択することが可能です。
ですが、用法の違いによる薬理学的作用に大きな差はないとされています。
分2の方が1日を通して効果出そうな感じもしますし、効果の変化を期待して用法を変更するDrもいるとは思いますが薬理学的には大きな変化の期待は難しいかもしれません。
ほとんど腎排泄型
H2ブロッカーは殆ど腎排泄です。
高齢者だと腎機能が低下しているケースがほとんどですが、H2ブロッカーもよく高齢者に処方されています。
何気ないお薬ではありますが高齢者に対する処方には少し気を配るようにしましょう。
H2ブロッカーの比較
ではここからはH2ブロッカーの比較に移っていきましょう。
適応の違いは?
H2ブロッカー間の適応の違いはたいしてありません。
共通するのは 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 逆流性食道炎 胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変の3つです。
プロテカジンとアルタットとザンタックは前述した3つに加えて麻酔前投与にも適応があります。
強さの比較
24時間酸分泌抑制率を見てみると一番強いのはラフチジンだと思われます。
強さの比較をまとめておきますので下記の画像を参照してください。
腎機能低下例に使いやすいのは
先ほどH2ブロッカーの殆どは腎排泄型と説明しました。
そんなH2ブロッカーの中でプロテカジンだけは肝代謝型なので腎機能低下例に対して用量を調節しなくてもOKです。
ただ、透析患者に対しては低用量から慎重に使用する必要がありますので注意しましょう。
各薬剤の特徴
プロテカジン(ラフチジン)の特徴は肝代謝型以外に、防御因子増強作用と日中と夜間で効果の差が少ないという点です。
ガスター(ファモチジン)は使用成績が多いのとCYPの影響を受けない特徴があります。
逆にタガメット(シメチジン)はCYPを阻害してしまうため、相互作用に気を配る必要があります。
アシノン(ニザチジン)の特徴は胃排泄促進作用を持つ点です。
アルタット(ロキサチジン)は夜間の酸分泌抑制率が最も高い特徴があります。
まとめ
・H2ブロッカーは日中より夜間の方が胃酸分泌抑制作用が強い ・プロテカジンは肝代謝型で、それ以外は腎排泄型 ・適応はほとんど同じ ・一番強いのはプロテカジン(ラフチジン) ・タガメットはCYPを阻害する
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