どうも、シンパパ薬剤師Kです。
今回は血液検査などで良く知られているNa(ナトリウム)についてのお話しです。
血液中におけるNaの役割
Naは血液を含む細胞外液の主要陽イオンです。
血清Na濃度 基準値:138~145mEq/L
血液中の浸透圧を決める重要な因子で、血清Naが高くなれば浸透圧が上昇して喉が渇いたり水の再吸収を促進したりします。
運動して水分が無くなって喉が渇くのは、血清Na濃度が高くなっているので水分を増やして血清Na濃度を下げようとしているという事です。
Naの役割を一言でいえば、「体内の水分量の調整」というのが分かりやすいかもしれません。
血清Na濃度が低いと
では血清Na濃度が低いと何が悪いのかという事ですが、心臓障害や腎臓障害などの可能性があるので放っておくのは危険です。
低Na血症の症状としては、倦怠感や食欲低下、悪心、頭痛などの症状が挙げられます。
血清Na濃度が低い原因
薬局や外来で来る血清Na濃度異常者のほとんどが低Na血症です。
高Na血症は熱中症や中枢障害の場合が多いので、外来などでふらっと来れる状態じゃないと思われます。
何らかの形で水とNaの調節が上手く出来ておらず、血中Na濃度が135mEq以下に下がる事で低Na血症になります。低Na血症は3タイプに分けられます。
①水過剰型(希釈性低Na血症):水分の過剰摂取や水分の排泄低下が原因 ②細胞外液不足型(Na喪失型):Naの摂取量低下やNaの排泄過剰が原因 ③細胞外液過剰型:水分もNaも過剰だけど、水分がより過剰
簡単に言えば、水分が多すぎるかNaが少なすぎるかって感じです。
塩分摂取を制限していたり、心疾患や腎障害で浮腫んだりしていると血清Na濃度は下がります。
血清Na濃度が低くなる疾患
血清Na濃度が低くなる疾患は以下の通りです。
~血清Na濃度が低下する疾患~ ・心不全 ・腎不全 ・肝硬変 ・ネフローゼ症候群 ・激しい嘔吐、下痢 ・脂質異常症 ADH不適合分泌症候群(SIADH)
薬で血清Na濃度が低下する
利尿薬やオピオイド、抗てんかん薬で血清Na濃度が低下することが知られています。
薬剤によって抗利尿ホルモン(ADH)の作用が増強したり、抗利尿ホルモンの分泌が増えたりすることが原因です。
チアジド系利尿薬は、腎臓の希釈能を低下させてNa排泄量を増やします。
利尿作用で体内水分量も減るので抗利尿ホルモンが分泌され「水分貯留→血清Na濃度が低下する」となります。
チアジド系利尿薬によって併発する低K血症は細胞内にNaを移動させるので、ADH分泌が増加し低Na血症が悪化します。
低Na血症のタイプごとの特徴
①水過剰型
このタイプが低Na血症で一番多いタイプです。
高齢者のSIADHや多飲の他、先ほどの薬剤性の低Na血症もこのタイプです。
②細胞外液不足型(Na喪失型)
このタイプの低Na血症は腎性と腎外性に分けられます。
腎性の場合は、尿細管の障害や利尿薬の服用が原因として挙げられます。
腎外性の場合は、嘔吐や下痢、膵炎、熱傷などが原因として挙げられます。
運動時に塩分の補給をせず水分だけ補給しているとこのタイプの脱水症状に陥ります。
③細胞外液過剰型
このタイプは「Naも過剰だけど水がもっと過剰」という状態です。
多くの場合が浮腫を伴っていて腎不全や心不全、肝硬変などが原因として考えられます。
血清Naが高いと
血清Na濃度が高い場合は低い時と同様に心臓障害や腎障害につながる恐れがあるので放っておいてはいけません。
自覚症状としては、倦怠感や頭痛、口渇などがあります。
血清Na濃度が高い原因
水分摂取量が少なかったり逆に排泄が多かったり、またはNa摂取量が多かったりすると血清Naが高くなります。
①水喪失型:水分摂取不足や水の排泄増加などが原因 ②Na過剰型:摂取するNa増加やNa排泄低下が原因
血清Naが高くなる疾患
血清Na濃度が高くなる疾患は以下の通りです。
・尿崩症 ・原発性アルドステロン症 ・偽アルドステロン症 ・クッシング症候群 ・熱射病、熱中症 ・過剰な利尿薬投与
偽アルドステロン症では血清Naが高くなるので甘草などによる高値に注意です。
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