どうも、シンパパ薬剤師Kです。
今日からまた薬学的知識をまとめていきます。
こないだ心不全を軽くお話ししたので今回は心不全の治療に用いられるループ利尿薬のフロセミド、アゾセミド、トラセミドを比較してみようと思います。
著者:児島悠史さんの「薬の比較と使い分け」と添付文書を参考にしています。
心不全治療によく用いられるループ利尿薬
ループ利尿薬は心不全患者に用いられます。
高齢になると心臓や臓器の働きはどうしても低下してきます。
僕の住んでいる地域は特に高齢化が進んでおり、患者さんも高齢の方が多くを占めています。
高血圧、循環器疾患を持っている患者さんもそれなりに多く、利尿剤の処方も多く目にします。
今回比較する3種類とも在庫していますし、定期的に出ているなあといった印象です。
では、この3種類がどのような違いがあるのかを実際に比較していきましょう。
①フロセミド
ラシックスはこの中で唯一高血圧に保険適応があります。
利尿薬と聞くと高血圧に効くイメージですよね。事実、効果はあると思いますがアゾセミドとトラセミドには高血圧の適用がありません。大抵の場合、心不全の時点で高血圧もあると思うのでそんなに気にする必要はないと思います。
作用時間が2~3時間程度と短く、午前中服用することで就寝時のトイレの問題をクリアできます。
利尿薬を飲んでなくても「夜間トイレに起きてしまう」という話を高齢の方からよく聞きます。
夜間頻尿は結構ストレスになりやすいので、利尿薬の作用時間は覚えておきたいポイントです。
高血圧に使う場合は第一選択ではありませんが、慢性腎不全の患者にも使えます。
効果は用量依存的に表れますが、効果に個人差が見られるといった意見もあるようです。
②アゾセミド
アゾセミドは作用時間が長いのが特徴です。
1日1回で10時間ほど作用が続きます。夜間のトイレを考えると朝食後一択ですかね。
フロセミドは作用時間が6時間なのでお昼でも問題なさそうですが、アゾセミドをお昼に飲むと夜中起きることになるかもしれませんね。
アゾセミドはフロセミドより心不全の予後は良いと報告されています。
これは、作用時間が長いことで急激な体液・血圧変動が起きづらく、交感神経やRAA系を刺激しにくいことが関係しているそうです。
作用時間は長いですが、服用後1時間以内に効果が出ます。
③トラセミド
トラセミドの特徴は、何と言ってもその効果の強さですね。
フロセミドの10~30倍の強さを誇ります。
しかも、抗アルドステロン作用も併せ持つので他のループ利尿薬に比べてKの排泄量が少ないという利点もあります。
ループ利尿薬を服用する上で問題になる低K血症のリスクが、他のループ利尿薬比べて少ないといえます。
ちなみに作用時間はフロセミドと大差ありません。
低K血症になると消化器症状や脱力感、尿量が異常に増えたりします。
諸症状の中でも一番危険な症状は不整脈です。時に致死性の不整脈が起きる事もあります。
普段の生活で、Kを多く含む食材(バナナ・イモ類・肉魚など)を食べるように指導するのもいいと思います。
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