先日ツイミーグのzoomによるwebセミナーを受けてきて、うちの薬局では取り扱いのないこの薬について1回最低限のレベルでは理解しておこうと思いましたので今回まとめていきたいと思います。
ツイミーグとは
2021年9月に発売された糖尿病治療薬で一般名はイメグリミン塩酸塩です。
ビグアナイド系のメトホルミンと何となく成分名が似ており作用点も1部共通している可能性がある薬剤ですので併用する際には注意が必要な薬剤です。作用機序も今までにない機序が示唆されている今注目の糖尿病治療薬です。
製剤の性状、半錠は可能か
ツイミーグは500㎎錠1規格のみで、錠剤のサイズは結構大きいです。
嚥下に不安がある高齢者だと飲みにくいと思います。
割線はありませんが、インタビューフォームを見ると「シャーレ解放状態の過酷試験でも3ヶ月変化なし」とのことなので半錠や一包化は問題ないと思われます。
一包化に関しては400錠バラが販売されてる時点で確実に問題ないですね。
作用機序
作用機序については添付文書に以下のような記載がされています。
イメグリミンは、グルコース濃度依存的インスリン分泌促進作用及びインスリン抵抗性改善作用により、血糖降下作用を発揮する薬剤であり、その作用機序はミトコンドリアへの作用を介するものと想定される。
<ツイミーグ添付文書から抜粋>
簡単にイメージするとメトグルコにミトコンドリアを介する作用が追加された薬剤といった感じです。
先日webセミナーで糖尿病内科の先生がミトコンドリアを介する作用について解説してくださった内容を要約すると①ミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅰを競合阻害 ➡ ②糖尿病によるATP産生低下とROS産生増加を①のミトコンドリア経由で改善するという事らしいです。
一言でいうと乳酸アシドーシスを起こさないメトグルコという認識で使っているとのことです。
用法用量
用法用量は1日2回1回1000㎎です。
腎機能などの患者背景による適宜増減についての記載はなく、一律1回1000㎎×2回なので調節は出来ません。
禁忌
禁忌は以下の通りです。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須である。]
2.3重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
ツイミーグ添付文書より抜粋
併用禁忌もないので制限は少ないですね。
注意事項
腎機能低下
腎機能低下例に対して禁忌や減量はありませんが、eGFRが45min/1.73m2未満の腎機能障害患者に対して投与は推奨されていません。webセミナーでもeGFR45切ると使わないと言っていたので調節出来ないデメリットが出てますね。
肝機能低下
肝機能障害に関して投与制限などはありませんが、重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施されていません。中等度の肝障害でAUCが約1.5倍になると添付文書に記載がありますので注意はしておきましょう。
他の糖尿病治療薬との併用
他の糖尿病治療薬との併用で副作用発現リスクが高まります。これはどの糖尿病治療薬においても言えることですね。
特にメトグルコとの併用群において副作用の発現が多く、主に消化器系の副作用が多いみたいです。
メトグルコと併用できるのか?
メトグルコ(メトホルミン)との併用には制限がありませんが、webセミナーのお話では併用する優先順位はかなり低そうでした。わざわざ作用が被っているメトグルコ(メトホルミン)との併用を選ぶ必要はなく、SGLT-2とかDPP-4を併用した方が良いとのことです。
メトグルコとどう違う?
メトグルコとの違いを要点だけまとめると、
・剤型が一つだけで大きいサイズのものしかない ・用量が調節できない ・腎機能低下による禁忌はないが制限はある ・乳酸アシドーシスのSEが報告されてない?少ない?
剤型が一つだけで大きい
メトグルコとツイミーグの錠剤の大きさは以下の通りです。
メトグルコ500㎎とツイミーグ500㎎はほぼ同じくらいでちょっとツイミーグの方が大きいですね。
メトグルコは割線あるし250㎎錠もあるので飲みにくい人でも飲める工夫がされているので、ツイミーグも割線が欲しいところ。。
用量調整が出来ない
ツイミーグは前述した通り用量調節が出来ません。
一方メトグルコは1日500㎎~2250㎎と患者の背景に合わせた用量設計が出来ます。
このあたり使いづらそうな印象を受けますね。
腎機能による投与制限
ツイミーグはeGFR45以下で投与推奨されておらず使わないのが基本線のようですが、メトグルコは用量を調節しながらeGFR30まで使うことが出来ます。
乳酸アシドーシスが起きない?
ツイミーグの添付文書には「臨床試験では乳酸アシドーシスの発現は認められていないが、本剤とビグアナイド系薬剤は作用機序の一部が共通している可能性がある。」と記載されており乳酸アシドーシスのリスクはかなり低い事が分かっています。
「メトホルミンと作用が被っているから念のために記載しておく」って感じの記載なので乳酸アシドーシスのリスクは殆どないと思って大丈夫そうです。
実際にどういう場面で使う?
webセミナーで伺ったことの受け売りになってしまうのですが、SGLT-2、GLP-1(orDPP4)を優先的に選択してもう少し血糖下げたい時にメトグルコというのがベースの考え方で、メトグルコでダメな患者さんにツイミーグをメトグルコと入れ替える形で使うとのことでした。
また、SUを足したい時に作用点は違うがツイミーグを使ってみてもいいのかもしれないとも仰っていたのでまだまだ手探りな部分が多そうでした。
第一選択としてメトグルコが選ばれることを考えると、作用点が被っているツイミーグを第一選択でも問題ないと思います。
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