どうも、シンパパ薬剤師Kです。
エンレストが高血圧にも適応追加されましたね。
体内でバルサルタンに分解される成分で、心不全で服用している患者に対して血圧を下げすぎるといった事案もあったので強い降圧作用が期待できます。
心不全に使う時とは用法や注意点が異なりますので確認していきましょう。
用法用量
エンレストを高血圧に使う際の用法は1日1回です。(心不全は1日2回)
用量は通常1回200mgで最大1回400mgまで増量可能。
年齢や既存治療などを考慮して1回100mgで始める事も可能です。
まだ高血圧に対してのエビデンスが少ないので心配であれば100mgから開始することが望ましいかと思います。
エンレストは配合剤のようで実は配合剤ではありませんが、高血圧に対して第一選択として使えませんの注意しましょう。
慢性心不全と高血圧が併発している場合
慢性心不全と高血圧が併発している場合は、基本的に心不全の用法用量に従うように添付文書に記載があります。
慢性心不全にまだなっていないが心機能の低下がある高血圧に投与する場合は高血圧の用法用量に従うことになりますが、添付文書に「慢性心不全の発症に先んじて高血圧症の治療目的で本剤を使用している場合等は、患者の状態に応じて適切に用法及び用量を選択すること。」との記載もあるのでもしかしたら医師の判断で慢性心不全の用法用量を選択することが可能かも?
後日、メーカーさんに問い合わせてみようかと思います。
注意が必要な患者背景
・厳密な減塩療法中の患者 ・血液透析中の患者 ・腎機能障害患者 ・中等度以上の肝機能障害患者 ・妊娠可能な女性(妊婦・授乳婦を含む) ・高齢者
簡単に列挙するとこんな感じです。
基本的な注意事項は慢性心不全の時と変わりないのですが、高血圧だと若年層も使う事が増えるので妊娠可能な女性に対しての注意が追加されています。
「母体や胎児に影響があるので、妊婦や妊娠の可能性がある女性には投与はしないこと。」となっています。
授乳婦の場合は、「胎児の低体重や生存率の低下が確認されているため、投与した場合は授乳を避けること。」とされています。
妊婦や胎児に悪影響を与えるのは多量投与のバルサルタンですので、この辺の扱いはバルサルタンと同様です。
ARBからの切り替えじゃなくてもOK
慢性心不全の場合はARBから切り替える必要がありますが、高血圧に使う場合は切り替える必要はないようです。
ARB以外の降圧剤に追加でOKですがACE阻害薬との併用は禁忌です。
慢性心不全の場合はARBを一旦中止して切り替えたほうが良いのですが、今回は切り替えの制限が無いのでARBと併用してもOKだと思われます。(保険が通るかは確実ではないとのこと)
投与後体内でバルサルタンになるのでARBと併用するよりエンレストの増量か他の降圧剤で調節した方が良いと思われます。
心不全程ではない心機能低下の高血圧に向いている?
「心機能低下患者の高血圧に使うと心保護作用で効果的なのか?」という旨の質問をメーカーさんにしたところ、「そのような説明をDrにお話ししてマーケティングを行っている」という旨の返事を頂きました。
心保護作用があって慢性心不全の適応がある薬剤ですので、心機能が低下している患者さんにも効果を期待出来そうです。
食事の影響は?
食事の影響について添付文書に記載があったので、ついでに書いておこうと思います。
サクビトリルは食事によってCmaxの低下がみられるもののAUCに影響はないそうです。
ですが、バルサルタンは食事によってCmaxもAUCも低下します。
バルサルタンのAUCは、低脂肪食の場合約34%の低下で高脂肪食の場合約9%の低下がみられるそうです。
食事によって脂肪量は異なるので可能であれば食前投与が良いのかも??
あとがき
まだまだ高血圧に対しては勿論、心不全に対するエビデンスが少ない薬剤ですので新しい見解などがあれば随時更新していきたいと思います。
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