弁膜症とは
弁膜症とは心臓の心房と心室の間にある弁の働きに異常が出ている状態です。
弁は心臓の血流がスムーズに流れるように閉じたり開いたりするのですが、異常が出ると弁がちゃんと閉じずに血流が逆流したり(閉鎖不全)、弁が上手く開かず血流が滞ったり(狭窄)します。
弁膜症が進むとどうなるの?
弁膜症が進行するとどうなるかというと、やがて「心不全」になります。
弁の異常によって心臓の働きが保てなくなり血液が送れなくなってくるので早期に生活習慣の見直し、予防的治療を行うことが重要だと考えられています。
弁膜症の原因
弁膜症の原因は多様です。すべてではありませんが、下記に代表的なものをまとめておきます。
・加齢による変性 ・先天性の異常 ・動脈硬化や心筋梗塞 ・慢性腎臓病による弁石灰化 ・心拡張による弁輪拡張 ・リウマチ熱や感染症 etc..
弁膜症の種類
弁膜症の病態はまず「閉鎖不全」と「狭窄」に分類されます。
弁は右心と左心に2つずつあり、各弁の閉鎖不全と狭窄なので弁膜症は8種類存在しています。
臨床で見かける頻度が高い弁膜症は左心にある僧帽弁と大動脈弁の異常です。全身に血液を送り出すのが左心なので右心よりも負荷が高いのが起因しているのかもしれませんね。
・右心の弁→三尖弁(右心房と右心室の間)と肺動脈弁(右心室と肺動脈の間) ・左心の弁→僧帽弁(左心房と左心室の間)と大動脈弁(左心室と大動脈の間) 4(三尖弁・肺動脈・僧帽弁・大動脈弁)×2(閉鎖不全・狭窄)=8種類
弁膜症の自覚症状
弁膜症は弁の異常で正常に血液が流れていないので下記のような「The・心疾患」という自覚症状が出ます。
~弁膜症の主な自覚症状~ ・動悸や息切れ ・めまいや失神 ・疲労感や倦怠感 ・胸痛 ・下肢の浮腫み
自覚症状だけで弁膜症だと判断するのは不可能だと思います。
弁膜症の治療
薬物療法
弁膜症の薬物治療は「心不全の治療」と同じです。
前述したように弁の異常によって心不全へ繋がる疾患ですので、心臓の機能を保つための治療が行われます。心不全に関してはこちらを参照してください。
非薬物療法
非薬物治療は「開胸手術」と「非開胸手術」があります。
開胸手術
開胸して行うのは「弁形成術」と「弁置換術」です。
「弁形成術」は弁を出来るだけ温存して修復する方法です。自分の弁を保存して機械を入れるわけではないので必ずしもワーファリンなどの抗凝固薬が必要ではないというメリットがあります。
「弁置換術」は壊れてしまった弁を人工弁(機械弁or生体弁)に付け替える方法です。
機械弁と生体弁があるのですが、機械弁は耐久性が高い代わりに体に馴染まず血栓ができる可能性が高いので抗凝固薬の服用が必須です。一方生体弁は機械より体に馴染み血栓が出来にくいのですが経年劣化が機械より早いという特徴があります。
非開胸手術
開胸手術は体への負担が大きいため、体力が低下している高齢者など適さないケースもあります。
そのような場合、非開胸で行える「経皮的僧帽弁」か「経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)」が考慮されます。
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