先日夜間頻尿のwebセミナーがあって軽く夜間頻尿について勉強をしたのでここに切ろうしておこうと思います。
夜間頻尿の基本知識
夜間頻尿は泌尿器科領域で最も頻度が高く、QOLを低下させる代表的な疾患である。
夜間の排尿回数が増加するほどQOLも低下すると考えられており、最近では生命予後にも関わると分かっている。
夜間に1回でもトイレに起きることを夜間頻尿というので該当する患者は多く、60代の80%、70代の90%が夜間頻尿である。
受診されるきっかけは、男性の場合残尿感や排尿困難などが多く、女性の場合トイレの回数の増加や失禁などが多い。
夜間頻尿の原因
夜間頻尿の原因は ①夜間多尿 ②膀胱畜尿障害 ③睡眠障害の3つに分けられる。
また、生活習慣病や循環器疾患との関与や利尿剤、カルシウム拮抗薬などによる夜間頻尿もあるので留意したい。
夜間多尿
夜間多尿の原因は ①水分過剰摂取 ②抗利尿ホルモン分泌の変化 ③循環器疾患 ④薬剤性多尿であり、循環器疾患に起因する夜間頻尿は布団に横になり足の高さと心臓の高さが近くなることで浮腫みの原因の水分が排泄されようとするためである。
畜尿障害
畜尿障害をきたす疾患は過活動膀胱や膀胱がん、膀胱炎などがあり、男性においては前立腺肥大などの前立腺疾患も畜尿障害の原因になる。
不眠
不眠は高齢者の多くが訴える症状であり、睡眠障害と夜間頻尿の関係は「尿意切迫感で不眠になるのか、目覚めてしまうから尿意を感じるのか」判断が難しい関係性である。
検査方法
必要な検査は ①血圧測定 ②採血検査 ③尿検査 ④超音波検査 ⑤尿流検査の5つで排尿日誌を連続した3日間(最低でも2日間)つけてもらう。
随伴症状(排尿困難、失禁、血尿、排尿痛など)や基礎疾患、内服薬、前立腺や浮腫の状態などをみて複合的に判断する。
夜間頻尿は死亡リスクを上昇させる
夜間にトイレの為に起床することで骨折のリスクが約2倍に上昇し、5年生存率から算出した死亡率が約2.4倍に上昇したという報告もあるので夜間頻尿の治療は重要であり、一晩で起きる回数が1回であれば大した問題になることは少ないが2回以上の場合は継続した治療を検討すべきである。
夜間頻尿の行動療法
夜間頻尿に対する行動療法は ①適切な水分摂取 ②寝る前のカフェイン、アルコールの摂取を控える ③寝る前に足を上げて横になる(昼寝も可) ④弾性ストッキングを日中に着用する⑤夕方、夜間に散歩などの運動を行うなどが挙げられる
また、減塩が夜間多尿へ良い影響を与えるという報告もある。(浮腫みの影響?)
適正な水分量は体重の2~2.5%で体重50㎏の人は1000~1250mLくらい、1日の尿量は20~25mL/㎏くらいが適正量である。
夜間頻尿の薬物治療
夜間頻尿に対する薬物療法は、夜間頻尿の原因疾患に即して行われる。
〇前立腺肥大 ➡ α1受容体遮断薬、PDE5阻害薬、5α還元酵素阻害薬
〇過活動膀胱 ➡ 抗コリン薬、β3受容体遮断薬
〇不眠 ➡ BZ系、非BZ系、ロゼレム、ベルソムラなど
〇多尿 ➡ デスモプレシン(男性のみ)、利尿剤など
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