どうも、シンパパ薬剤師Kです。
今回は骨粗鬆症で使われるビタミンD3製剤の2つを比べていこうと思います。
ビタミンDの薬理作用
まずはビタミンD3の薬理作用を見ていきましょう。
~主な作用~
・腸管でのCaの吸収を促進し、血中Ca濃度を上昇させる
・骨芽細胞を有する類骨面比率が増加し、骨芽細胞に直接作用して骨形成を促進
・副甲状腺機能の亢進を抑制させる
副甲状腺機能が亢進すると、PTH(パラトルモン)が増加します。
PTHは血中Caを増加させる働きをするので、PTHが過剰になると骨吸収を促し、骨がもろくなってしまいます。
アルファロール(一般名:アルファカルシドール)
アルファロールは1981年発売のビタミンD3製剤です。
禁忌はなく、使いやすいお薬です。
◎適応
・下記疾患におけるビタミンD代謝異常に伴う諸症状の改善
→慢性腎不全・副甲状腺機能低下症・ビタミンD抵抗性クル病・骨軟化症
・骨粗鬆症
◎用量
・慢性腎不全・骨粗鬆症の場合
→成人1日1回0.5~1.0μgを経口投与。適宜増減
・副甲状腺機能低下症・その他のビタミンD代謝異常に伴う諸症状の場合
→成人1日1回1.0~4.0μgを経口投与。適宜増減
・小児用量
→①骨粗鬆症の場合は、0.01~0.03μg/kgを経口投与。適宜増減
②その他の疾患の場合は、0.05~0.1μg/kgを経口投与。適宜増減
◎併用注意
・マグネシウム含有製剤
・ジギタリス製剤
・カルシウム製剤
・PTH製剤(テリパラチド)
◎副作用
・重大な副作用
→急性腎不全や肝機能障害・黄疸があらわれることがあるので腎機能と肝機能を十分に検査しながら治療を行う。
・慢性腎不全・甲状腺機能低下症・クル病・骨軟化症・未熟児におけるビタミンD代謝異常
→全体の副作用は5.7%で、主な症状は瘙痒感(2.3%)・食欲不振(1.0%)・嘔気(0.9%)・下痢(0.6%)・ALT上昇(0.5%)
・骨粗鬆症
→全体の副作用は1.3%で、主な症状はBUN上昇(0.2%)・嘔気(0.2%)・食欲不振(0.1%)・胃痛(0.1%)・AST上昇(0.09%)
◎使用上の注意
①過量投与を避けるため、血中Ca値を定期的に測定して血中Caが正常値から逸脱しないように投与量を調整する。
②高Ca血症を起こした場合は直ちに中止する。
骨粗鬆症で使う場合の副作用は、気にするほどの発生頻度ではなさそうですが、
Ca製剤と併用した際は、高Ca血症の注意が必要です。
血中Caが増加してきた為にCa製剤が処方削除されているのは結構見ます。
◎高齢者
高齢者の場合生理機能が低下しているので用量に注意して投与する。
◎妊婦・授乳婦
妊婦に投与する場合は有益性投与。
授乳婦の場合は、投与を避けることが望ましいが、投与する場合は授乳を避ける。
◎食事の影響
食事の影響は添付文書でもインタビューフォームでも記載されていませんでした。
エディロール(一般名:エルデカルシトール)
エディロールは2011年に発売された比較的新しい薬で、2020年にGEが発売されました。
アルファロールに比べて骨折の頻度を優位に軽減させたデータがあります。
◎禁忌
妊婦・妊娠している可能性のある患者
◎適応
・骨粗鬆症
◎用法用量
・成人にはエルデカルシトールとして1日1回0.75μgを経口投与する。ただし、症状により適宜1日1回0.5μgに減量する。
◎用法用量の注意事項
血清カルシウム値を定期的に測定し、高カルシウム血症を起こした場合には直ちに休薬。
休薬後は血清カルシウムが正常域まで戻った後に、1日1回0.5μgで投与を再開すること。
1日1回0.5μg投与による骨折予防効果は確立していないので、漫然と投与を継続せず、患者の状態を確認して1日1回0.75μgへ戻すか他剤による治療への変更を考慮すること。
◎併用注意
・マグネシウム含有製剤
・ジギタリス製剤
・カルシウム製剤
・PTH製剤(テリパラチド)
◎副作用
・重大な副作用
→急性腎障害・高Ca血症・尿路結石
・骨粗鬆症(IFに記載されている36か月時の使用成績調査)
→全体の副作用は6.49%で、主な症状は高Ca血症(1.16%)・腎機能障害(1.16%)・便秘(0.46%)など
◎高齢者
腎機能低下している場合は、投与初期に頻回に血中Caを測定するなど慎重に投与する必要があります。
◎妊婦・授乳婦
妊婦は禁忌で、授乳婦は授乳を避けることとされています。
◎食事の影響
食事の影響は殆どありません。
食後に比べて空腹時の方が少しだけAUCが高いです。
◎薬物相互作用
エディロールはシンバスタチンと併用することで、シンバスタチンのAUCを少しだけ低下させますが治療上問題はない程度の変化です。
◎腎機能障害・肝機能障害の患者の血中濃度
・腎機能障害
腎機能障害患者の場合、血中トラフ濃度が上昇します。
CCLが70以上のトラフ濃度250pg/mLに対して、CCL30未満の場合のトラフ濃度380pg/mLになります。
・肝機能障害
肝機能障害患者の場合、血中トラフ濃度が低下します。
健常人のトラフ濃度が99.8pg/mLに対して、肝機能障害患者の場合73.9pg/mLと低下します。
2剤の主な違い
・アルファロールは適応が骨粗鬆症以外にもあるが、エディロールは骨粗鬆症だけ。
・エディロールは禁忌がある。(妊婦に対して禁忌)
・エディロールは休薬からの再開時に用量が設定されている。
・エディロールは腎機能・肝機能の影響を明確に受ける。(アルファロールも生理活性の影響はある)
・エディロールの方が骨折抑制効果は高い。
まとめ
アルファロールとエディロールの使い分けは、適応による違いか、エディロールを使えなかった場合にアルファロールを使うって感じですかね。
まあ、あとは先生の使用感とか好みもあると思います。
エディロールの方が使う上での注意事項がありますが効果は高い事が明確になっているので、忍容性さえあればエディロールを優先すべきかなと思いました。
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